第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(ポスター発表)

医療事故訴訟・医療安全

[P93] 一般演題・ポスター93
医療事故訴訟・医療安全02

Sun. Mar 3, 2019 11:00 AM - 11:40 AM ポスター会場11 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:松島 久雄(獨協医科大学埼玉医療センター救命救急センター)

[P93-4] ICUにおける注射配置薬管理システム導入が薬剤管理業務に与える影響

成田 一理1, 三田 篤義2, 清水 彩里2, 清澤 研吉2, 若林 諒2, 竹澤 崇1, 高尾 ゆきえ2, 神田 博仁1, 今村 浩2, 大森 栄1 (1.信州大学医学部附属病院 薬剤部, 2.信州大学医学部附属病院 集中治療部)

【背景】
集中治療室(ICU)では鎮静薬や血管作動薬のような劇薬を含む多種類の薬剤が処方され、オーダー変更が頻回なため、薬剤管理業務は煩雑かつ複雑であり、仕事量が多い。注射配置薬リスクマネジメントシステム(Secuill-Stand® 以下、セキル)は、登録した注射薬について在庫管理や払い出し時の薬剤確認を自動化する薬剤管理システムである。セキルは薬剤のトレーサビリティーに有用であり、指紋認証で使用者を認識し薬剤取り出し時間および数量が記録される。当院のICU移転に伴い2018年4月よりICUでセキルを導入した。ICUでは注射オーダー毎に注射ラベルを発行し、注射ラベルのバーコードをセキルに読み込ませることにより、薬剤取り出し時における間違え防止を図った。今回、セキル導入が当院ICUの薬剤管理業務にどのように影響したか検証することを目的としてセキル導入前後の業務量の変化について調査した。
【対象と方法】
調査対象期間はセキル導入前2018年1月~2018年3月と導入後2018年5月~2018年7月の前後3ヶ月間とし、導入前後のICUでの医薬品管理(在庫量、請求件数及び返品件数)について比較した。2018年4月はシステム導入による在庫修正期間としたため調査対象から除外した。セキル導入前は薬剤師が翌日分の注射薬オーダーをもとに前日までに注射薬を患者毎セットしICUへ搬送していた。セキル導入後は払い出し記録を1日2回薬剤部で集計し、使用された注射薬のみICUへ払い出し、セキルへ充填する運用を行った。
【結果】
セキル導入前3ヶ月間の注射薬請求件数、請求品目は3544件、422品目であったのに対し、セキル導入後3ヶ月間の注射薬請求件数、請求品目は830件、216品目であった。返品件数及び返品品目については導入前4830件、153品目、導入後1005件、112品目であった。当院ICUではセキル導入前、配置薬の不足分を看護師が1日1回集計し薬剤部へ請求していたが、導入により配置薬の集計、請求が不要となり請求件数は75%、請求品目は50%減少した。薬剤部への返品件数は80%、返品品目は25%減少し看護師の返品伝票作成や薬剤部での返品業務を削減することができた。
【結語】
セキル導入によりICUでの注射薬請求が効率化され、薬剤師、看護師の業務量を減らすことができた。現在、セキル内に配置する品目や在庫数を見直し、さらなる効率化を目指している。今後も薬剤管理業務の質を落とさず、病棟薬剤業務の拡充を模索していきたい。