第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(ポスター発表)

血液・凝固 研究

[P94] 一般演題・ポスター94
血液・凝固 研究

Sun. Mar 3, 2019 11:00 AM - 11:40 AM ポスター会場12 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:山岡 正和(姫路赤十字病院)

[P94-2] 当院集中治療部におけるVV-ECMO(膜型人工肺)施行中の抗凝固薬の検討

安田 則久, 庄 聡史, 小坂 麻里子, 水山 勇人, 古賀 寛教, 日高 正剛, 後藤 孝冶, 北野 敬明 (大分大学 医学部 麻酔科)

【目的】VV-ECMOを必要とするような重症呼吸不全ではすでにDICを合併していることが多く、当施設ではリコンビナントトロンボモジュリン(TM)やアンチトロンビン製剤(AT)が使用される場合も多い。今回、当施設におけるVV-ECMO施行中の抗凝固薬の使用状況と合併症の発症状況を後方視的に調査し、最適な抗凝固療法を検討することを目的とする。【方法】2015年から2017年の間に当院集中治療部に入室しVV-ECMOを施行した18症例を対象とした。電子カルテより、患者年齢、性別、基礎疾患を抽出し、重症度スコアとしてAPACHE<II>c-fos</II>スコア、SOFAスコア、急性期DICスコアを算出。ECMO実施中に使用した抗凝固薬に関して調査するとともに、ECMO施行0日目、3日目、7日目、10日目、14日目およびECMO離脱時まで、凝固・出血に関わる検査値(血小板数、PT-INR、aPTT、ACTなど)を抽出し、出血性合併症の有無を調査した。ECMOの持続時間と膜交換のデータを調査し、さらに、使用した抗凝固療法ごとに凝固・出血に関するデータの集計を行い、各種抗凝固薬間での比較を行った。【結果】対象患者18名の年齢は中央値で75、ICU入室時APACHE<II>c-fos</II>スコア、SOFAスコア、Murrayスコア、急性期DICスコアはそれぞれ27、11、3、5(中央値)であった。人工肺は全例PMP膜(ニプロ社BIOCUBE6000)が使用されていた。ECMO施行中に投与した抗凝固薬はTM群5例、TM+AT併用群7例、TM+ヘパリン群4例、AT群1例、抗凝固なし1例であり、ECMO施行期間(中央値)はTM群10日、TM+AT群8日、TM+ヘパリン群10日、AT群6日、抗凝固なし群6日であった。途中でECMOの膜交換を行ったのは1例のみであり、ECMOの実施に大きな問題はなかった。出血性合併症は、TM単独群で1例(20%)、TM+AT群で2例(28%)TM+ヘパリン群で2例(50%)であった。【結論】ヘパリンを使用しないTMを中心とした抗凝固療法でも安全にVV-ECMOが実施できることが示唆された。