第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(ポスター発表)

血液浄化

[P96] 一般演題・ポスター96
血液浄化01

2019年3月3日(日) 11:00 〜 11:40 ポスター会場14 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:井上 義博(岩手医科大学医学部救急・災害・総合医学救急医学分野)

[P96-4] 血漿交換療法が有効と考えられた高度肥満を合併する重症SLE+Goodpasture症候群の1救命例

佐藤 悠子, 奈良場 啓, 高橋 雄治, 神田 直樹, 園生 智弘, 橋本 英樹, 中村 謙介 (株式会社 日立製作所 日立総合病院)

【背景】Goodpasture症候群(GPS)は稀な疾患であり血漿交換療法(PE)と免疫抑制療法の併用療法を標準治療とするが、まだ確立された治療法はなく予後不良な疾患である。全身性エリテマトーデス(SLE)との合併症例の報告はわずかであるが、今回、重症SLE+GPSに対しPEを含めた集中治療が有効と考えられた症例を経験したので報告する。【症例】44歳女性、160cm、140kg。慢性心不全、慢性腎不全の診断で近医通院中であった。X-7日より発熱を認め、X日呼吸困難を主訴に救急搬送された。Alb 1.1 g/dLの低アルブミン血症と尿蛋白3+からネフローゼ症候群が疑われ、CTにて両側肺水腫を認めたため精査加療、呼吸管理目的にICU入室となった。呼吸状態の増悪に対し高流量鼻カニュラ(HFNC)40L40%を開始、翌日に血痰を認めたため、各種検査を追加したところ血球減少、補体低下、抗ds-DNA抗体>400倍でありSLEと診断、ステロイドパルス療法と後療法としてPSL60mg内服を開始した。更に抗GBM抗体51.3U/mlであることが判明しGPSを合併していると考えられた。症状は改善傾向ではあったが高度肥満もあり、PSLの早期減量を目標にPEを開始した。胸部Xp像も改善傾向でHFNC離脱したが、血球減少、肺陰影増悪し原疾患の悪化が疑われ、NPPVを装着、2回目のステロイドパルス療法を実施、PEは継続して隔日で計7回施行したところ血痰減少、抗GBM抗体陰性化、全身状態安定を得た。またICU入室翌日より神経筋電気刺激療法と関節熱量測定を用いた積極的な栄養運動療法を実施し体重は126.3kgまで減量、X+19日にICU退室した。現在も治療継続中である。【考察】GPSは稀であることから治療法は確立されておらず、2年間での死亡率は9.9%、腎死率は73.9%、腎機能が改善するのは約8%と腎予後不良の疾患であるが、SLE合併例ではさらに致命的となりうる。本症例は高度肥満を合併していたが、呼吸療法と積極的な早期リハビリテーション、栄養療法により治療と同時に減量を達成し挿管回避することができた。SLE+GPS(疑い含む)は調べた限りで5例の報告があり、4例はステロイドパルス療法、PE等で軽快、1例はステロイド投与がされたが死亡していた。中国からはSLE患者157人中8.9%にあたる14人が抗GBM抗体陽性で、かつ5人はGPSと診断されたとの報告があり、SLEでも腎障害や肺胞出血が著明な場合は抗GBM抗体を提出しPEを含めた治療を考慮すべきである。