第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(ポスター発表)

血液浄化

[P97] 一般演題・ポスター97
血液浄化02

2019年3月3日(日) 11:00 〜 11:40 ポスター会場15 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:畑中 晃(京都岡本記念病院)

[P97-1] 臨床工学技士による血液浄化療法時の簡易心エコー

鈴木 壮彦1, 山内 昌祉1, 仲間 敏春2, 登川 雅子3, 仲間 康敏2, 玉城 正弘2 (1.社会医療法人友愛会 豊見城中央病院 臨床工学科, 2.社会医療法人友愛会 豊見城中央病院 集中治療室, 3.社会医療法人友愛会 豊見城中央病院 検査科)

【背景】心エコーが血液循環量の把握に有効である事は報告されているが、臨床工学技士が心エコーを用いながら血液浄化療法を実施している他施設からの報告は少ない。当院では血液浄化療法時の血液循環量把握のため、教育を受けた臨床工学技士が医師と共に心エコーを実施してきた。
【目的】循環血液量評価を目的とした、集中治療室における血液浄化療法時の、臨床工学技士による簡易心エコーについての取り組みと経過を報告する。
【経過】2017年8月、簡易心エコー技術習得を目的とし、臨床検査技師、医師から臨床工学技士への教育を開始した。教育内容は2回のシミュレーションによる実技指導に加え、日々のオンザジョブトレーニングを約6ヶ月実施した。2018年2月より臨床工学技士による血液透析時の簡易心エコーを導入した。簡易心エコーは下大静脈、 胸骨左縁長軸像、心尖部四腔断面像の経時的変化を血液浄化療法中に適宜観察し、血液循環量の把握に用いた。描出した心エコー画像を医師に報告の上、バイタルの変化を加味し除水量を調整した。臨床工学技士による簡易心エコーは導入後約2ヶ月間で、集中治療室において合計19症例実施した。対象患者のSOFA平均スコアは8.6、集中治療室入室理由は心臓血管外科術後が最も多く13例であった。平均透析時間は5.3時間(CHDFを除く)、1回の血液浄化療法における平均除水量は2139mlであった。急激な血液循環量減少による血圧低下を理由とした血液浄化療法の中止例は無かった。
【結論】血液浄化療法施行時の臨床工学技士による簡易心エコーは、専門家からの教育を受けることで習得可能であると考える。但し簡易心エコーは定性的な評価が用いられることが多く、臨床工学技士単独での評価は注意すべきであり、得られた簡易心エコー画像は医師と情報共有することで、循環血液量把握の方法となる。
また、今後は教育体制と測定プロトコールの構築により、集中治療領域以外の血液浄化療法施行時にも、臨床工学技士による簡易心エコーが期待される。