第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(ポスター発表)

血液浄化

[P97] 一般演題・ポスター97
血液浄化02

2019年3月3日(日) 11:00 〜 11:40 ポスター会場15 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:畑中 晃(京都岡本記念病院)

[P97-2] 無抗凝固によるCRRTを行った症例についての検討

岡田 直樹, 大谷 英彦, 鏑木 聡, 小林 隆寛, 宮島 敏, 森下 和樹, 津屋 喬史, 皆川 宗輝 (横浜市立みなと赤十字病院 臨床工学部 臨床工学課)


【背景】
集中治療領域では出血のリスクから無抗凝固による持続的腎代替療法(以降CRRT)を行うことがある。しかし、当院に無抗凝固によるCRRTを行う基準が無いのが現状である。
【目的】
当院で行った無抗凝固CRRTの記録から、無抗凝固でCRRTを24時間以上行える条件を検討する。
【方法】
24時間以上連続して無抗凝固かつ回路交換を実施していない症例を対象に、血液検査値のトロンボプラスチン時間(APTT)、プロトロンビン時間(PT)、PT-INR、血小板数(PLT)、フィブリノゲン(Fib)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)とCRRTレポートから施行中の活性型凝固時間(ACT)を収集し分析する。
【結果】
当院で24時間以上連続して無抗凝固かつ回路交換を実施していない症例は3例あった。施行時間それぞれ37時間15分、47時間16分、55時間50分だった。血液検査値はAPTT(36.9‐200sec、中央値69.4sec)、PT時間(19.3‐120sec、中央値27.7sec)、PT‐INR(1.68‐3.81、中央値2.36)、AST(158‐11613U/L、中央値4102U/L)、ALT(81‐4462U/L、中央値2153U/L)、PLT(0.9‐26.6×104/μl、中央値6.9×104/μl)、Fib(97‐528mg/dl、中央値254mg/dl)であり施行中のACTは170‐1453sec、中央値192secだった。
【考察】
今回の3症例ともにCRRT開始時もしくは開始後24時間以内のASTとALTは500U/Lを超えており重度の肝機能障害を併発していたことが分かった。PLTとFibは正常値の症例もあったが、肝機能障害による凝固因子欠乏から凝固障害が発生し無抗凝固でのCRRTが行えたと考える。
【結語】AST及びALTがともに500U/Lを超えるような重度の肝機能障害を併発している症例では無抗凝固CRRTを24時間以上施行できる可能性が示唆せれた。しかし、症例数が少なくより多くの症例による検討が必要である。