[P98-5] Sensenbrenner症候群による腎障害によりCRRTを実施した一症例
【はじめに】Sensenbrenner症候群(頭蓋外胚葉異形成)は繊毛異常症として知られている稀有な症例である。症状として頭蓋縫合早期癒合や短指症、合指症および特徴的顔貌などがあげられる。今回、Sensenbrenner症候群による腎機能障害の急性増悪と思われる症例を経験したので報告する。【症例】3歳0か月、身長90.0cm、体重13.0kgの女児で1歳8か月時に頭蓋縫合早期癒合症に対して頭蓋拡張術を当院で行った。来院2日前から尿量が減少した。前日から不機嫌となり夜間はほぼ眠れず、朝より顔色不良となり近医受診した。近医受診時に意識レベル低下を認め、酸素飽和度が60%まで低下して血圧が測定不能となった。心胸郭比拡大および左室壁運動低下を認めたため心原性ショックと判断しドクターヘリで当院に搬送された。来院時のGCS5点(E3,V1,M1)。心筋炎を疑い、気管挿管後にICUへ入室しECMOをスタンバイした。入室後の採血で極度の混合性アシドーシス(pH6.768、PaCO2 72.4mmHg、HCO3- 9.9mmol/L)、腎機能障害(BUN 68.8mg/dl、Cr 3.88mg/dl)を認めたためCRRTを導入した。CRRTは断続的に計29日間にわたり実施した。血流量は50ml/min、透析液量は500ml/h、補液量は100ml/hで除水は状況に応じて30-150ml/hで行った。ヘモフィルターはPS膜かCTA膜の0.3m2を使用した。抗凝固薬はメシル酸ナファモスタットを0.8-1.0mg/kg/hで使用し、ACTを160-180秒で管理した。CRRT開始後、代謝性アシドーシスが改善されるにしたがい循環動態は改善した。しかし乏尿が継続しており、これまでの経過からESKDと判断した。腹膜透析の導入と原因疾患の検索を行った。遺伝子検査の結果からSensenbrenner症候群と確定診断した。【考察】今回の症例では来院時にショック状態であり入院当初は心筋炎に合併する急性心腎症候群が疑われたが、臨床検査結果や既往歴などからSensenbrenner症候群が疑われ遺伝子検査により確定診断された。Sensenbrenner症候群では乳児期から小児期にかけてESKDとなるため、腎移植の適応となる。本症例も容体が安定したところで腎移植が可能な病院へ転院した。