[P99-2] 小児カフ付き気管チューブの使用上の問題点 その1~カフは垂れ込みを防止できるのか?~
【背景】小児、特に8歳以下に気管挿管を行う場合には、従来カフなしチューブが多く使用されてきた。2015年より本邦においても小児の解剖学的な特徴を踏まえ開発された小児カフ付き気管チューブマイクロカフ(以下マイクロカフ)が発売され、カフ付きチューブを使用する機会が多くなっている。マイクロカフはカフ付であることから、分泌物の垂れ込みやエアリークを抑制し適切な換気ができるなどの利点があると考えられている。しかし、臨床の場ではカフなしチューブと比べてマイクロカフを使用することで垂れ込みが明らかに減少している印象はあまり得られていなかった。成人のカフつきチューブに関して、適正なカフ圧や垂れ込みについての報告はあるが、小児に関しての報告はまだない。【目的】小児用カフ付気管チューブの、垂れ込みの実態を検証する。【方法】検証する対象年齢を生後0ヶ月~2歳とし、小児用気管チューブは、マイクロカフを使用した。年齢別の気管内径に最も近い気管チューブを気管に見立て、気管モデルを作成した。生後0ヶ月~8ヶ月に対し、マイクロカフは3.0mm、気管モデルは5.0mmの気管チューブを使用した。8ヶ月~2歳に対し、マイクロカフは3.5mm、気管モデルは6.0mmを使用した。気管モデルに気管チューブを挿入し上部から水を流し、時間別(5、10、20分後)、カフ圧別(0、10、15、20、30hPa)で分け、カフより下に溜まった水の量を計測した。分析方法としてKruskal-Wallis検定(P<0.05)を使用した。対照実験としてカフなしチューブでも同様に時間別の実験を行った。【結果】時間別の検証では水を入れた時点で既にカフ下への垂れ込みが生じ、5分以内に水がほぼ全量垂れ込んでおり時間が長くなってもその量には変化がなかった。マイクロカフはカフ圧が20hPa以下で管理することが推奨されるが、カフ圧がそれ以上でも以下でも垂れ込みに有意差はなかった。気管チューブのカフの有無に関わらず同様に水の垂れ込みは生じており、カフの有無による差はなかった。【結論】カフの使用にかかわらず、どのような条件下でも垂れ込みが生じていることが分かった。