[P99-3] 小児カフ付き気管チューブの使用上の問題点 その2~カフは設定どおりに膨らんでいるのか~
【背景】8歳以下の小児に気管挿管を行う際には、カフなしチューブが多く使用されてきた。2015年より本邦においても小児の解剖学的な特徴を踏まえた小児カフ付き気管チューブマイクロカフ(以下マイクロカフ)が発売され、使用する機会が増えている。マイクロカフは、カフ付きであるため分泌物の垂れ込みやエアリークを抑制し適切な換気ができるなどの利点がある。一方で、長期管理を要する症例では、カフの素材の特性により、パイロットバルーン(以下Pバルーン)やインフレーティングチューブ(以下Iチューブ)に水滴が生じ、カフが正常に機能しなくなるという事が確認されている。【目的】マイクロカフを安全に使用していくため、PバルーンやIチューブ内に水滴が生じやすい環境や、条件などを明らかにし、適切な管理方法を検討する。【方法】挿管時に類似した環境下で検証するため、1,FFP解凍器(Meditex Model40)を使用した。水温を37.0℃に保ち、マイクロカフ(3.0mm,3.5mm,4.0mm)を24時間浸水させ、1日1回、連続10日間の観察を行った。A群はカフ圧をメーカー推奨の15hPaで一定に保った。B群は1日1回、カフ圧を一旦、0hPaとしてから15hPaまで上げて管理した。カフ圧の測定はカフチェッカー(TOKSO)を用いた。2,Pバルーン側から着色水を注入し Iチューブに水滴が生じている状態を再現し、カフ圧測定時のカフやPバルーンの状態を評価した。【結果】A群、B群ともに24時間後からカフの内側に曇りが生じた。A群のカフは、萎むことはなく常に15hPa前後であった。A群は、カフやIチューブに明らかな水滴は確認できなかった。B群では、2日目からカフ内に水滴が確認でき、7日目からIチューブ内に水滴が確認できた。Iチューブに水滴を認めると、カフ圧計が15hPaを示していても、カフが膨らんでいない状態が確認された。水滴の再現実験でも同様の状態が確認でき、カフ圧計で圧を徐々に上げていくと、Iチューブの水滴が動きだした後に、再度カフが膨らむことが確認できた。【結論】カフ圧の変化で水滴が生じ、カフが機能しなくなることが確認された。カフ圧を徐々に上げることで、カフの機能が戻ることは確認できたが、水滴を生じさせにくくするためには、カフ圧を一定に保つような管理が必要である。