[PC6-2] RCTは絶対的エビデンスではない
【 ARS(視聴者参加型アンケートシステム)使用】
RCTはエビデンスピラミッドの頂点に位置する研究デザインであり,予防や治療効果を判断する上で最強のデザインとされている。観察研究で大きな問題となる交絡因子の影響をランダム割付により回避し,介入群と対照群との間の群間比較性(内的妥当性)を高められることがその強みの理由である。しかし,厳格な包含・除外基準により外的妥当性が低くなる点や選択・情報バイアスは調整できない点など,一見完全と思われるRCTにも限界が存在する。そもそもRCTは『ある前提を元に立てた仮説を検証した実験』であり,“Positive”なtrialは仮説設定がよく練られ厳正な対象集団に整えられていることが多い。逆に“Negative”なtrialとは,介入効果を否定するものではなく,ひとつの仮説が立証できなかったに過ぎない。故にRCTをリアルワールドに適用する際には,表面上の結果を盲信することなく,批判的吟味を加えた上でその“質”を見極めなければならない。