第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

パネルディスカッション

[PD10] パネルディスカッション10
遠隔医療 Tele-ICUの可能性

2019年3月2日(土) 08:45 〜 10:15 第8会場 (国立京都国際会館2F Room B-1)

座長:大嶽 浩司(昭和大学医学部麻酔科学講座), 讃井 將満(自治医科大学附属さいたま医療センター麻酔科・集中治療部)

[PD10-5] Big data型Tele-ICUについて

小谷 透, 宮下 亮一, 大嶽 浩司 (昭和大学 医学部 麻酔科学講座 集中治療科)

ライブ配信】

Tele-ICUとは、複数のICU/CCU/HCUをネットワークで結び、遠隔地にある支援センターが支援対象の全病床の診療情報を把握し支援する仕組みである。アメリカでは30年の臨床実績があり、在院死亡率の低下、在院日数の短縮、医療事故や医療訴訟の大幅な減少が報告されている。これらは日本でも診療目標となる可能性がある。その一方で、Tele-ICUの支援は対象施設のシステムや支援の受け入れ体制に依存する。ベッドサイドスタッフの求める診療支援をタイムリーに行うことに意義があり、今後Tele-ICU支援センターが増えれば支援内容の多様化が実現するかもしれない。現状では重症患者管理が主たる目的であり、そのためには支援センターに医療記録と生体情報モニター・医療機器からのリアルタイム情報が提供される必要がある。さらに現場スタッフと支援センターが双方向音声画像システムで接続され緊密に意思疎通がはかれることが必須である。Tele-ICUの形としてコンサルテーション型とBig data型に別れるだろう。前者では医師への個別支援に限定される傾向があり、後者では現場ICUのパフォーマンス向上や介入効果など総合的診療アウトカムを重要視する。その結果、前者は症例ごとのアウトカム評価にとどまるが、後者では臨床評価を行うためのより良い土壌を提供する。Tele-ICUを議論する場合、これら2つのタイプは明確に分けるべきであろう。今回、昭和大学では大学附属の2病院にある5つの重症病棟の間で2018年4月よりBig data型Tele-ICUを本格稼働した。フィリップス社製の解析ツールであるeCare Managerを用い、50名の患者を同時に監視できる。すでに、ヒヤリハット事例や転落転倒防止事例など医療安全上の成功事例は蓄積されている。現在、運用開始後1年でのアウトカム評価のために準備中であり、この結果を踏まえて我が国におけるTele-ICUの可能性について報告する予定である