[PD12-6] 退院後の生活をイメージし患者家族と取り組む早期リハビリテーションの効果
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1.背景 近年post intensive care syndrome(以下、PICS)の概念が提唱され、その要因において不動性、人工呼吸管理日数など指摘されているが、その対策の一助として早期リハビリテーション(以下、リハビリ)の有効性が多くの先行研究において示されている。しかし、退院時さらには退院後、慢性期の身体・認知機能を改善させるためには、早期リハビリに加え、急性期から慢性期までシームレスなリハビリ介入が必要である。救命救急センター入院患者は、病前の身体・認知機能の把握が困難であり、加えて高齢者が多く併存症も多いため、標準化したリハビリテーションのステップアップは困難である。当院高度救命救急センター(以下、当センター)では、2017年度より早期リハビリの体制を確立した。医師・看護師・専任の理学療法士・脳卒中リハビリ看護認定看護師でチームを結成し、PICS対策として、2018年度から導入した課題解決型多職種回診を利用して、患者・家族・多職種間でリハビリの目標設定と共有に取り組んでいる。PICS改善に向けた活動と今後の展望について報告する。2.経過 以前から、医師・看護師・理学療法士とともに患者の状態を共有しながら早期リハビリを実施していたが、リハビリの目標設定は、医療者主体で行っていた。2018年度より、課題解決型多職種回診を導入するにあたり、定期的にベッドサイドで患者の現状、リハビリの内容、社会背景や生活環境などの情報共有を行い、患者・家族とともに退院後の生活をイメージしたリハビリの長期・短期目標を設定した。その結果、リハビリ介入率は36%から43%、48時間以内に開始されたリハビリは23%から79%に上昇したのに加え、患者・家族とリハビリの目標共有できたものは5.8%からほぼ半数程度と上昇した。突然の受傷・発症という予期せぬ事態で入院し、リハビリに消極的であった患者・家族においても、目標共有することで前向きにリハビリ取り組み、人工呼吸器離脱に成功したばかりでなく、退院後もリハビリを継続し社会復帰を果たす症例が見られた。3.結語 患者・家族を巻き込み退院後の生活をイメージしたリハビリの目標を設定することは、現実的な目標設定と長期間にわたる積極的なリハビリの継続に繋がり、有効なPICS対策となりうる。