[PD12-8] ICUから外へ、家族とともに
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【背景】ICUにおける重症患者に発生するPICS(post-intensive care syndrome)はICU退室後の患者の予後やQOLに大きく影響を及ぼす。その予防にABCDEFバンドルが提唱され、早期リハビリテーションがPICSの運動機能障害のみならず、譫妄の予防・改善に役立つ可能性があると示唆されている。当院では、以前よりICU患者の早期離床・早期リハビリテーションとして屋外庭園の散策や入浴など、ICU外での活動を取り入れるとともに、積極的に家族の参加をすすめており、PICSならびにPICS-Fの予防・改善に役立つことを期待している。【目的】当院で取り組んでいるこれらのICU外リハビリテーション活動について紹介・報告する。【方法】2015年1月から2018年8月までにICUに入室した、SOFAスコア10以上あるいは人工呼吸器管理3日以上の重症患者を対象に後方視的に調査した。ICU入室後3日以内に死亡した症例を除いた。【結果】上記を満たす重症患者は71人であった。そのうち、33名にICU外の活動が行われた。ICU外活動の内訳は、車椅子での屋内散策23名、屋外散策32名、入浴12名、以前入院していた一般病棟を訪問するなどその他の活動5名であった。家族を伴った車椅子での屋外庭園の散策は17名に行われた。気管挿管チューブ、血管アクセスルート、ドレーンなどの計画外抜去やバイタルサインの著明な悪化は認められなかった。【結論】ICU外活動には、集中治療医1名、看護師1名、理学療法士2名、臨床工学技士1名が付添う。このようにして、早期離床の一環として患者をICU外の環境へ連れ出すことは、患者の身体能力の改善のみならず譫妄などの精神障害を軽減する可能性があると、我々は考えている。特に、屋外庭園の散策や以前入院していた病棟の訪問は患者が重症化する前の経験や生活を思い出させ、治療に対する意欲の向上にも役立つと考える。一方、庭園散策に家族を同伴することは、家族に大変好評で、患者のみならず患者の家族の精神的ストレスを軽減できる可能性がある。「家族と一緒に外を散歩する」ことはPICSおよびPICS-Fの予防の一助になるかもしれない。