[PD13-7] 東京オリンピック・パラリンピックにおける熱中症対策
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日本集中治療医学会を含めた23の学会は2020年東京オリンピック・パラリンピック開催中の救急災害医療体制に係る学術連合体(コンソーシアム)を結成して、関係諸団体との連携を強化し、積極的に学術的な提言を行っている。各学会の担当部会が、2019年初旬にガイドラインの発行を予定しており、その後はテーマごと(熱中症、外国人対応、看護等)にワーキング・グループ(WG)を作り、横断的な議論、情報共有を行っていく方針である。
ガイドラインでの熱中症対策は「熱中症への取り組み」「発生予測」「熱中症への対応」の3項目であり、「熱中症への対応」で集中治療に関連する範囲を以下に示す。
1)現場での対応
現場では、環境省熱中症環境保健マニュアル「熱中症の応急処置」に従い、具合が悪いと感じたら、涼しい場所で安静にしながら、水分摂取に努める。意識がない場合、水分摂取ができない場合、安静にして水分摂取をしても症状が改善しない場合は救急要請する。
2)熱中症のトリアージ
現場で初期治療を行う医療機関を決定する1stトリアージには東京消防庁疾病観察カード、初期医療機関が入院先を決定する2ndトリアージには熱中症重症度分類・スコアを用いるのが望ましい。Heatstroke STUDYでは、現場での意識(JCS)、血圧、呼吸数、脈拍、SpO2のいずれか1項目でも異常所見があった場合を1stトリアージ陽性としたら、重症例に関する感度は84.1%だった。また、1stトリアージと2ndトリアージの2回のトリアージで両方陰性になった943症例では、死亡例もしくは人工呼吸器管理、カテコラミン投与、CHDF、ECMOなどの集中治療管理を要した症例はなかった。
3)重症例への対応
2)に従えば、東京消防庁疾病観察カードか熱中症重症度分類・スコアで重症と判断された症例が救命救急センター・集中治療室に収容される。重症例に対しては、高体温に対する冷却と冷却後の集中治療が重要である。冷却法としては、アイスプール(Cold water immersion)、蒸散冷却・氷嚢・水冷式ブランケットなどの体外冷却、血管内冷却カテーテルを用いた深部冷却やゲルパッド式水冷体表冷却などの有効性を示したCase seriesが散見されるが、特定の冷却法を支持する大規模調査は行われていない。Heatstroke STUDYでは、深部体温が40度以上で中枢神経症状を呈した症例(従来のHeatstrokeに該当)のうち冷却法が明らかな193症例の冷却法ごとの死亡率は、蒸散冷却・氷嚢・水冷式ブランケットなどの体外冷却では21.6%、胃洗浄や膀胱洗浄を用いた体内冷却を併用した場合は16.5%であったのに対して、補液のみ(冷却なし)では42.9%と有意に高かった。冷却後の集中治療としては血漿交換や血液浄化療法、抗DIC治療、感染症合併例への抗菌薬治療を行った報告があるが、各臓器障害に推奨される特定の治療法はなく、早急に各々の有効性の検討を行う必要がある。
ガイドラインでの熱中症対策は「熱中症への取り組み」「発生予測」「熱中症への対応」の3項目であり、「熱中症への対応」で集中治療に関連する範囲を以下に示す。
1)現場での対応
現場では、環境省熱中症環境保健マニュアル「熱中症の応急処置」に従い、具合が悪いと感じたら、涼しい場所で安静にしながら、水分摂取に努める。意識がない場合、水分摂取ができない場合、安静にして水分摂取をしても症状が改善しない場合は救急要請する。
2)熱中症のトリアージ
現場で初期治療を行う医療機関を決定する1stトリアージには東京消防庁疾病観察カード、初期医療機関が入院先を決定する2ndトリアージには熱中症重症度分類・スコアを用いるのが望ましい。Heatstroke STUDYでは、現場での意識(JCS)、血圧、呼吸数、脈拍、SpO2のいずれか1項目でも異常所見があった場合を1stトリアージ陽性としたら、重症例に関する感度は84.1%だった。また、1stトリアージと2ndトリアージの2回のトリアージで両方陰性になった943症例では、死亡例もしくは人工呼吸器管理、カテコラミン投与、CHDF、ECMOなどの集中治療管理を要した症例はなかった。
3)重症例への対応
2)に従えば、東京消防庁疾病観察カードか熱中症重症度分類・スコアで重症と判断された症例が救命救急センター・集中治療室に収容される。重症例に対しては、高体温に対する冷却と冷却後の集中治療が重要である。冷却法としては、アイスプール(Cold water immersion)、蒸散冷却・氷嚢・水冷式ブランケットなどの体外冷却、血管内冷却カテーテルを用いた深部冷却やゲルパッド式水冷体表冷却などの有効性を示したCase seriesが散見されるが、特定の冷却法を支持する大規模調査は行われていない。Heatstroke STUDYでは、深部体温が40度以上で中枢神経症状を呈した症例(従来のHeatstrokeに該当)のうち冷却法が明らかな193症例の冷却法ごとの死亡率は、蒸散冷却・氷嚢・水冷式ブランケットなどの体外冷却では21.6%、胃洗浄や膀胱洗浄を用いた体内冷却を併用した場合は16.5%であったのに対して、補液のみ(冷却なし)では42.9%と有意に高かった。冷却後の集中治療としては血漿交換や血液浄化療法、抗DIC治療、感染症合併例への抗菌薬治療を行った報告があるが、各臓器障害に推奨される特定の治療法はなく、早急に各々の有効性の検討を行う必要がある。