第46回日本集中治療医学会学術集会

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パネルディスカッション

[PD16] パネルディスカッション16
ICUにおける身体抑制を考える

Sun. Mar 3, 2019 2:00 PM - 3:30 PM 第4会場 (国立京都国際会館1F アネックスホール2)

座長:西村 祐枝(岡山市立市民病院看護部), 山口 典子(長崎大学病院 看護部)

[PD16-2] さまざまな身体抑制について考える

森 一直 (愛知医科大学病院 看護部)

身体拘束とは、「衣類または綿入り帯等を使用して一時的に該当患者の身体を拘束し、その運動を抑制する行動の制限をいう」(昭和63年4月8日 厚生省告示 第129号における身体拘束の定義)とある。2015年には日本看護倫理学会より、「身体拘束予防ガイドライン」が発表され、看護師は患者の人権擁護をしていく役割があることが明記されている。人権の事を考えると身体抑制はしてはいけないことと理解しているが必要な場面がある。特にICUでは挿管チューブやCVラインなど生命を維持するために必要なものが多いため必要となる場面が存在する。ICUにおける身体拘束については、2010年に日本集中治療医学会から「ICUにおける身体拘束(抑制)ガイドライン」が発表され、ICUという環境における抑制の開始や中止基準、ケアに関することが明記されている。身体抑制は3要素(「切迫性」「非代償性」「一時性」)が3つとも満たした場合に認められているが、抑制を行う時には基本的人権や人間の尊厳を守ることを妨げる行為であるといったことを理解し慎重に行う必要がある。身体抑制は、抑制帯を使用して動かなくするだけではない。抑制帯を使用していなくても深い鎮静状態にしていれば、患者の行動を抑制していることになるため鎮静も身体拘束の一つと言える。さらに、「○○さん、ベッドが狭いから動かないでください」という言葉も患者の行動を抑制することとなり、ベッドサイドでの監視も患者にとっては身体抑制になってしまう可能性がある。このように、身体抑制は、道具による抑制、鎮静薬による抑制、言葉による抑制、監視による抑制があると考えられ、どれもが患者の人権や人間の尊厳を侵害する可能性がある。近年は、特定行為により看護師が人工呼吸器患者の鎮静薬を調整できるため、鎮静薬による身体抑制について考えたうえで実践する必要がある。看護実践の中で、抑制帯を使用する抑制以外の身体抑制にも目を向け、身体拘束の目的や開始・中止基準に関する議論ではなく、身体抑制に関して患者の人権や尊厳といったことを中心に考えながら身体抑制について深めていきたい。