第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

パネルディスカッション

[PD16] パネルディスカッション16
ICUにおける身体抑制を考える

2019年3月3日(日) 14:00 〜 15:30 第4会場 (国立京都国際会館1F アネックスホール2)

座長:西村 祐枝(岡山市立市民病院看護部), 山口 典子(長崎大学病院 看護部)

[PD16-4] A病院ICUにおける身体抑制実施状況の報告

小野 高, 倉本 紀, 藤田 一宏 (横浜市立市民病院)

A病院ICUにおける身体抑制実施状況の報告横浜市立市民病院 ICU 小野 高 倉本 紀 藤田 一宏【背景】近年、人工呼吸器管理中であっても覚醒した状態で療養する患者が増えている。覚醒している患者に対して身体抑制を実施することは、Post-intensive Care Syndromeのリスクとなることを理解していても、自己抜管を懸念し、タイムリーな解除となっていない状況がある。身体抑制の実施を最小限にするためには、身体抑制の実施と解除に対する統一した判断ができるように現状を明らかにすることが必要であると考える。今回、A病院集中治療室(以下、ICU)において気管挿管下の患者に対する身体抑制を実施したケースの要因を調査した。【目的】 ICUにおいて気管挿管下の患者に対し、身体抑制を実施したケースの要因を調査し、ICU看護師が身体抑制の実施と解除に関する判断の要因を明らかにする。【方法】対象:ICU入室後、48時間以上気管挿管を実施した患者7名。対象期間:気管挿管実施から抜管、または気管切開に到るまで。身体抑制の必要性について、患者背景に加えて、RASS、鎮静剤・鎮痛剤の有無、疼痛スコア、CAM-ICUならびに身体抑制を実施したか否かについて、延べ41件の診療録を調査した。【結果】身体抑制を必要とし、身体抑制の実施に至ったケースは41件中40件であった。身体抑制が必要と判断した要因は「CAM-ICU陽性」または「過去にCAM-ICU陽性」、「鎮静薬・鎮痛剤の投与有り」、「RASS+1~-4」であった。疼痛スケールによる疼痛スコアの評価はされていなかった。ジェスチャーや筆談でも意思疎通がとれる患者に身体抑制が継続されているケースが1件あった。一方で、身体抑制が不要と判断したケースは1件で「RASS-3」、「CAM-ICU陽性」であったものの、看護師が胸元まで上肢があがらず自己抜去に至らないと判断し、身体抑制を解除していた。ICU入室時から4日間実施し、その後はICU退室まで身体抑制を実施せずに経過した。【結論】ICU看護師が身体抑制実施、解除の判断に至る要因の一部が明らかとなった。ICUにおいては、一度開始した身体抑制は継続される傾向にあることがわかった。