[PD17-5] システマティックレビューをシステマティックレビューする -敗血症診療における抗凝固療法の位置付け-
【背景】敗血症に伴って認められる凝固線溶異常は多臓器不全の一因となり、敗血症にDICを合併すると死亡リスクが高まることが知られている。しかし、DICという病態を治療対象として捉え抗凝固療法を行うことの是非についてはその評価は定まっていない。【目的】過去に報告されたシステマティックレビュー(SR)論文の趨勢を俯瞰することにより、敗血症における抗凝固療法の位置付けを明らかにすること。【方法】2018年までに報告されたSR論文を網羅的に収集した(システマティックレビューのシステマティックレビュー)。使用した検索エンジンはMEDLINE、「敗血症」・「抗凝固療法」・「メタアナリシス」で検索式を作成した。一次・二次スクリーニングを著者2名で行った。【結果】対象論文は合計10編であった。介入の内訳は、あらゆる抗凝固薬を統合したものが1編、アンチトロンビン4編、トロンボモジュリン2編、ヘパリン3編だった。それらから得られた結果は以下の通りであった。<1>すべてのSR論文間の転帰改善効果における異質性は高い。<2>アンチトロンビンは多くのエビデンスが存在するが、SRの手法によりその評価結果は正反対となっている。<3>トロンボモジュリンは総じて転帰を改善する傾向があったが、未だエビデンスは不十分である。【まとめ】敗血症に対する抗凝固療法の位置付けが混沌とする一因を明らかにした。