[PD17-6] 敗血症性DICの生存アウトカム改善のために抗凝固療法はどのように行うべきか
【背景】敗血症性DICを対象とした抗凝固療法の生存アウトカム改善効果が報告されているが、至適な施行方法の詳細は明らかでない。抗凝固療法によるDIC治療は、免疫血栓も抑制することで、感染症治療を阻害する懸念も指摘されている。我々は、敗血症性DICの生存アウトカムに、適正な初期抗菌薬と早期ドレナージによる初期感染制御が最も影響することを報告した。抗凝固療法の生存アウトカム改善効果を着実に得るために、初期感染制御の適正度に関わらず、コンスタントにその効果を発揮できる至適な施行方法を追究する必要がある。
【目的】抗凝固薬の投与順序、早期投与、併用など抗凝固療法の施行方法の工夫で、漫然と行う抗凝固療法より、初期感染制御の適正度に関わらず敗血症性DICの生存アウトカムをより改善することができると仮定し検証した。
【方法】2009年から2017年までに信州大学医学部附属病院高度救命救急センターにおいて、敗血症性DICに対して抗凝固療法(トロンボモジュリンα:TMα、アンチトロンビン: AT)を施行された症例を後ろ向きに解析した。TMα先行投与、DIC診断から12時間以内の抗凝固薬投与、TMαとAT併用の各々について、患者背景・感染症治療・生命維持療法・敗血症及びDICの重症度より傾向スコアを算出した。主要評価項目として、抗凝固療法の各施行方法の28日生存に対する調整オッズ比を、ロジスティック回帰分析で傾向スコア(logit)と感染制御の適正度で調整して求めた。
【結果】対象症例は46例で、年齢中央値73歳、男性41%、SOFAスコア中央値10、APACHE2スコア中央値25、28日生存率74%であった。DICに対する抗凝固療法としてTMαは83%、ATは70%で投与されていた。適正な初期抗菌薬と早期ドレナージによる初期感染制御が不十分であったものは33%であった。各施行方法の傾向スコアのC統計量はいずれも0.8以上であった。28日生存に対する調整オッズ比(95%信頼区間, p値)は、TMα先行投与:0.67(0.10-4.68, p=0.684)、DIC診断から12時間以内の抗凝固薬投与:0.86(0.12-6.07, p=0.882)、TMαとAT併用:2.12(0.31-14.74, p=0.447)であった。
【結論】本研究では、抗凝固療法の施行方法の工夫で、漫然と行う抗凝固療法より生存アウトカムを有意に改善する方法は明らかにならなかった。初期感染制御の適正化に最も注力しながら、抗凝固療法の至適な施行方法をさらに追究してゆく必要がある。
【目的】抗凝固薬の投与順序、早期投与、併用など抗凝固療法の施行方法の工夫で、漫然と行う抗凝固療法より、初期感染制御の適正度に関わらず敗血症性DICの生存アウトカムをより改善することができると仮定し検証した。
【方法】2009年から2017年までに信州大学医学部附属病院高度救命救急センターにおいて、敗血症性DICに対して抗凝固療法(トロンボモジュリンα:TMα、アンチトロンビン: AT)を施行された症例を後ろ向きに解析した。TMα先行投与、DIC診断から12時間以内の抗凝固薬投与、TMαとAT併用の各々について、患者背景・感染症治療・生命維持療法・敗血症及びDICの重症度より傾向スコアを算出した。主要評価項目として、抗凝固療法の各施行方法の28日生存に対する調整オッズ比を、ロジスティック回帰分析で傾向スコア(logit)と感染制御の適正度で調整して求めた。
【結果】対象症例は46例で、年齢中央値73歳、男性41%、SOFAスコア中央値10、APACHE2スコア中央値25、28日生存率74%であった。DICに対する抗凝固療法としてTMαは83%、ATは70%で投与されていた。適正な初期抗菌薬と早期ドレナージによる初期感染制御が不十分であったものは33%であった。各施行方法の傾向スコアのC統計量はいずれも0.8以上であった。28日生存に対する調整オッズ比(95%信頼区間, p値)は、TMα先行投与:0.67(0.10-4.68, p=0.684)、DIC診断から12時間以内の抗凝固薬投与:0.86(0.12-6.07, p=0.882)、TMαとAT併用:2.12(0.31-14.74, p=0.447)であった。
【結論】本研究では、抗凝固療法の施行方法の工夫で、漫然と行う抗凝固療法より生存アウトカムを有意に改善する方法は明らかにならなかった。初期感染制御の適正化に最も注力しながら、抗凝固療法の至適な施行方法をさらに追究してゆく必要がある。