第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

パネルディスカッション

[PD18] パネルディスカッション18
集中治療領域における栄養と看護

2019年3月3日(日) 14:00 〜 15:30 第7会場 (国立京都国際会館1F Room E)

座長:小谷 穣治(国立大学法人 神戸大学大学院医学系研究科 災害・救急医学), 清水 孝宏(地方独立行政法人那覇市立病院看護部)

[PD18-1] 基調講演 重症患者の栄養療法:次世代(the next generation)の栄養療法を施す人材を育成するために

小谷 穣治 (神戸大学大学院医学研究科外科系講座 災害・救急医学分野)

 海外には重症患者を対象とした栄養管理ガイドラインがあるが本邦にはなかった。また、海外のエビデンスや医療状況に基づいたガイドラインを日本人や日本の医療現場にそのまま適応できない場合もある。日本集中治療医学会は、本邦の臨床に適応したガイドラインを作成する目的で、国際ガイドラインでは言及されないが本邦で行われている治療、海外では行われているが本邦には存在しない治療なども考慮し、総論的なクリニカルクエスチョン(CQ)とその推奨で構成した「日本版重症患者の栄養療法ガイドライン」を2016年3月に、特殊な急性期栄養療法を要する病態におけるCQと推奨で構成した「同ガイドライン:病態別栄養療法」を2017年9月に発刊した。各推奨作成では、既存のシステマティックレビューとメタアナリシス、国際ガイドラインの推奨の流用が可能かを検討し、必要であればシステマティックレビューを行った。ガイドライン作成後の重要なステップである「普及」のために、ベッドサイドで簡単に参照できるダイジェスト版を2018年2月に刊行した。ガイドライン本書の文章の大意を変えないように留意した。
 看護師は常に患者サイドにおり、病状情報を早期に的確に、申し送りを経て経時的に掌握できる唯一の職種である。情報発信を行う立場にもあり、看護的な療法を即座に施すこともできる。即ち、看護師は患者予後にも影響を及ぼす重要な役割を担う。この観点に立ち、本ガイドラインでは看護的なCQを立て、エビデンスを評価して推奨を行った。本セッションでは、最初に私が本ガイドラインの骨子を紹介し、実際に看護師が栄養療法を施した際の現実的な問題と対応法について発表していただき、本ガイドラインを題材として討議し、明日の診療に即時に役立てられる方策を見出したい。
当日の議論が急性期医療を担う看護師の栄養療法の重要性のより広く深い認知と理解につながり、次世代(the next generation)の人材を育成する糧となることを祈念している。