[PD18-3] 経腸栄養管理をしている重症患者の適切な排便コントロールを目指して
【背景】当科で独自に作成した排便コントロール基準(以下、基準)を8年間使用しているが、これまでその有効性を十分に評価していなかった。基準を作成した当時よりも患者の病態や病期が多様化し、浅鎮静でコントロールする患者が増え、現状に則した基準になっていない可能性も考慮し、基準使用状況と排便コントロールの現状分析が必要と考えた。【目的】基準の使用状況の実態を調査し現状分析と評価を行うこと。【方法】後ろ向き調査及び看護師へのアンケート調査。対象症例:2014~2017年の4年間にICUに入室し、7日間以上基準を使用した55症例。対象看護師:2018年4月現在ICUに勤務している看護師19名。対象55症例の7日間(1日につき3回基準使用)の排便調査表データを集計し、便秘・下痢の割合、基準通り緩下剤を投与しなかった割合と理由、判定間違いの割合と内容を分析した。対象看護師へ基準使用状況についての質問を含むアンケートを実施した。用語の定義として、下痢は水様便から泥状便が1日300gを上回る状態、便秘は2日以上排便がない状態とした。【結果】排便調査表を集計した結果、便秘8%、下痢35%。基準通り緩下剤を投与しなかったのは7.7%であった。その理由として、看護師へのアンケート結果から「夜間頻便となることで睡眠が妨げられるのを防ぐため」13名68%、「緩下剤の過剰な効果を防ぐため減量した」12名63%の2点が多かった。判定間違いの割合は7.7%で、その内容は排便量を計算する際の排便調査表の読み取り間違いに起因するものだった。【考察と結語】基準を使用しながら、看護師が主体的に患者の緩下剤に対する反応や夜間睡眠状況をアセスメントし、緩下剤使用量を調整することで、良好な排便コントロールが得られたと考えられた。排便調査表の読み取り間違いを防ぐためには、基準使用方法をより明確な表現に改正し、スタッフへの定期的なオリエンテーションを実施する必要があると考えられた。参考文献:静脈経腸栄養28, 1245-1250, 2013