第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

パネルディスカッション

[PD19] パネルディスカッション19
(CE検討委員会企画) 臨床工学技士の集中治療室専従配置に向けて

2019年3月3日(日) 14:00 〜 15:00 第9会場 (国立京都国際会館2F Room B-2)

座長:相嶋 一登(横浜市立市民病院臨床工学部), 木村 政義(兵庫医科大学病院 臨床工学部)

[PD19-3] ICUにおける臨床工学技士の存在意義~看護師の視点から~

細萱 順一 (地方独立行政法人 東京都健康長寿医療センター 特定集中治療室)

ライブ配信】

 医療の高度化により、ICUにおける臨床工学技士(ME)の重要性が高まっている。生命維持装置を装着する患者の多いICUにおいて、緊急時やトラブルシューティングに対応してくれるMEは看護師にとって非常に心強い味方である。JSEPTIC(2014)の調査結果でも、同様の理由で医療者の84%が「MEは24時間ICUまたは院内で勤務していることが望ましい」と回答している。自身の経験では、人工呼吸器装着しての歩行リハビリテーションやECMO装着患者の離床や気分転換を目的とした外出時にはMEは機器の監視役として非常に重要な役割である。また、当院でもImpellaや補助人工心臓(VAD)装着患者の離床や外出時は必ずMEに協力を依頼している。当院のICU看護師とMEを対象にしたアンケートでも、ME機器装着患者のリハビリテーション場面では、MEに参画してもらう重要性を強く感じていた。また、急変時の体外循環導入時は、各職種の役割分担は重要であり、場面を想定したシミュレーショントレーニングなどを企画・運営していく専門チームを構築していく上ではICU専従のMEに担ってもらう役割は大きいと考える。 更に同アンケートにおいて、「治療方針・意思決定へのME参画の重要性」についても、多くの看護師やMEが重要性を感じていた(下図)。自身の経験から、補助循環患者のWithholding/Withdrawingへの方針転換の場面や、意識清明のVAD装着患者のエンドオブライフケアの場面において体外循環回路の管理や機器の機能不全に至る時期の予測性を評価した専門的意見をふまえたディスカッションは、患者・家族または医療チームにとって非常に有意義である。 MEのICU専従を望む看護師の声の中に、「MEは生命維持装置の管理を通して患者の状態を把握しており、その知識をチームで共有することでより質の高いケアに活かしていけると思う。」とあった。ICU専従のメリットは機器の安全管理の観点も勿論だが、救命からエンドオブライフまで多様なケアが求められるICUにおいて、チーム医療の重要な構成要員であるMEの存在意義は大きいと考える。
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