第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

パネルディスカッション

[PD3] パネルディスカッション3
救急とICUの連携

2019年3月1日(金) 09:00 〜 10:30 第4会場 (国立京都国際会館1F アネックスホール2)

座長:織田 成人(千葉大学大学院医学研究院救急集中治療医学), 鶴田 良介(山口大学医学部附属病院先進救急医療センター)

[PD3-1] 外傷診療における救急とICUの連携
-DSTC/DATCコースで学ぶ外傷外科・麻酔・集中治療-

溝端 康光1, 野田 智宏1, 内田 健一郎1, 吉村 有矢2, 安田 篤史3, 藤田 尚4 (1.大阪市立大学大学院医学研究科 救急医学, 2.防衛医科大学校病院救急部, 3.帝京大学医学部 麻酔科, 4.帝京大学医学部 救急医学)

外傷診療においては、初期診療、手術・IVR、集中治療を、適格な患者に対して適切なタイミングで実施することが求められる。このため、初期診療、手術・IVR、集中治療にかかわる医師、看護師、その他の医療スタッフは、外傷患者の病態と診療についての戦略と戦術を共有し、チームとして連携しつつ、シームレスに診療に携わる必要がある。
従来、初期診療と手術・IVRについては、主に大量出血に対する蘇生としてのDCS(Damage Control Surgery)、DCR(Damage Control Resuscitation)を学ぶためのoff the job trainingが、ATOM(Advanced Trauma Operative Management)、DSTC(Definitive Surgical Trauma Care)やSSTT(Surgical Strategy and Treatment for Trauma)などとして開催されてきた。しかしながら、これらのコースには手術にかかわる麻酔科医やICUでの集中治療医との連携についての内容はほとんど含まれていない。
DATC(Definitive Anaesthetic Trauma Care)コースはDSTCコースを開発したIATSIC(International Association for Trauma Surgery and Intensive Care)が新たに作成したoff the job trainingで、救急医や外科医に加え、麻酔科医や集中治療医も参加して外傷蘇生を習得するためのコースである。DATCコースはDSTCコースと合同で開催され、初期診療からDCSでの再手術までの、麻酔と集中治療を対象とする。
すでに世界各国で開催されているが、日本では2018年6月に第1回コースが開催され、DSTCコースを12名、DATCコースを6名の医師が受講した。講義には“communication in trauma” “intensive care in trauma” “trauma anesthesia”などが加えられ、外傷蘇生におけるDCRとDCSでの麻酔と集中治療にかかわる知識の共有を図ることを目指している。また、2回のブタをもちいたスキルラボでは、蘇生において麻酔医や集中治療医に求められる手技を修得することができる。
今回、DATCコースの内容を紹介するとともに、受講者からの意見等から評価した有用性について報告する。