第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

パネルディスカッション

[PD6] パネルディスカッション6
重症小児の輸液について本音で語ろう

2019年3月2日(土) 10:20 〜 11:50 第4会場 (国立京都国際会館1F アネックスホール2)

座長:川崎 達也(静岡県立こども病院 小児集中治療科), 永渕 弘之(神奈川県立こども医療センター集中治療科)

[PD6-1] 当院PICUにおける小児敗血症に対する初期蘇生輸液の実態

其田 健司, 小泉 沢, 川名 信 (宮城県立こども病院集中治療科)

ARS(視聴者参加型アンケートシステム)使用】

【背景】敗血症に対する初期蘇生輸液に膠質液を用いることの有効性について、成人領域では示されていないが、小児敗血症においてデータが少ない。【目的】当院PICUにおいて初期蘇生輸液を施行された敗血症患者の特徴を明らかにすること。【対象】2014年4月から2018年10月に当PICUに入室し、volume resuscitationを要した小児敗血症症例。【方法】診療録から後方視的に、患者背景、検査結果、輸液内容、転帰を検討した。【結果】対象は14例。月齢中央値は 17.5ヵ月 (0-132ヵ月)。基礎疾患を有する児は13例 (92.8%)、うち複雑心奇形7例(50%)、血液疾患3例(21%)、重症心身障害児3例(21%)、消化管疾患4例(28%)であった(重複含む)。ICU入室後6時間以内における輸液負荷量は37.5ml/kg(5-121)、HES等人工膠質液の使用はなく、Albは9例(64%)、RBC輸血含む血液製剤は7例(5%)で使用されていた。PICU退室時における、転帰良好群7例と転帰不良群(死亡含むPCPCの悪化)7例を比較すると、ステロイドの投与頻度が転帰良好群で有意に多かった[71% vs 0%: P=0.009]。検索範囲内での、ICU入室時の乳酸値等の検査値、入室後の輸液の種類、量、24時間総輸液量、インアウトバランス、人工呼吸管理率、ICU在室日数に関しては、統計学的有意差を認めなかった。膠質液の、volume resuscitation 全体に占める割合は、統計学的有意差を認めなかった[28.6% (0-100) vs 11.1%l(0-52): P=0.24]。【考察】当院の敗血症症例は基礎疾患を有する児が多かった。転帰良好群と不良群での、膠質液、輸血を含む輸液内容、量における差は認めなかった。ステロイドに関しては、転帰良好群で多く投与されていた。後方視的単施設のデータであるため、現状示されてない膠質液による初期蘇生輸液については更なる研究が必要と考えられる。