第46回日本集中治療医学会学術集会

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特別企画

[SP3] 特別企画3
未来を拓く音の可能性 ─ The sound opens the future ─

Sat. Mar 2, 2019 2:00 PM - 2:50 PM 第1会場 (国立京都国際会館1F メインホール)

座長:大塚 将秀(公立大学法人 横浜市立大学附属市民総合医療センター集中治療部)

[SP3] 未来を拓く音の可能性 ─ The sound opens the future ─

井出 祐昭 (井出 音 研究所/サウンドスペースコンポーザー)

オンデマンド配信】

サウンド・スペース・コンポーザー Sound Space Composer
有限会社 エル・プロデュース代表取締役
井出 音 研究所 所長
 
ヤマハ株式会社チーフプロデューサーを経て、2001年有限会社エル・プロデュースを設立。最先端技術を駆使し、音楽制作、音響デザイン、音場創成を総合的にプロデュースすることで、様々なエネルギー空間を創り出す「サウンド・スペース・コンポーズ」の新分野を確立。イマジネーションを最大限に喚起する次世代の立体音響システム“EL PHONIC”を開発し、医療・健康分野との関連も深めている。

主な作品には、30周年を迎えるJR新宿・渋谷駅発車ベル、愛知万博、上海万博、表参道ヒルズ、東京銀座資生堂ビル、グランフロント大阪、TOYOTA i-REALコンテンツ、SHARP AQUOSなど。また米国最大の癌センターテキサス州MD Anderson Cancer Centerにて音楽療法の臨床研究を行う他、科学と音楽の融合に取り組んでいる。最近では、日本ロレアル社と共同で髪や肌の健康状態を音で伝える技術を開発。化粧品業界のオリンピックと呼ばれるIFSCC世界大会及びESOMAR 2017にて世界一の賞を受賞。朝日新聞 『天声人語』、特集番組『幸福音』(WOWOW)、『世の中おもしろ研究所』(NHK)、『クリエイターズ・file』(NHK)、『未来シアター』(日本テレビ)など、テレビ出演や講演なども多数。著書に、『見えないデザイン』(ヤマハミュージックメディア)、『分子の音』(毎日新聞社)などがある。
本講演は、医療分野等の広い分野で活用されている「音」の実例を示し、特に音と医療の未来を示唆するものである。講演を行うのは、サウンド・スペース・コンポーザーの井出 祐昭。元祖JR新宿駅渋谷駅発車メロディの生みの親で、日本の発車ベルを初めてメロディへと変えた音のイノベーターである。TOYOTA 電気自動車をはじめとした車両音開発、SHARP AQUOS等のプロダクト開発、表参道ヒルズ、グランフロント大阪などの建築音響プロデュース、愛知万博、浜名湖花博等のイベントプロデュース、その他AIや美容分野等、音や音楽を用いて手掛ける分野は幅広く、世界的な活躍をしている。
 音の技術を40年以上追求している講演者が今回切り口とするのは、「医療」の世界。本講演では、音の本質を積極的に活かし、多面的に応用された医療と音のシナジーをお見せする。音と医療の未来を実感して頂けるセミナーとしたい。

M.D. Anderson Cancer Centerにおけるがん治療時の苦痛軽減に纏わる臨床研究
アメリカ最大のがんセンターの一つであるM.D. Anderson Cancer Centerにおいて、講演者は音によるがん治療時の苦痛軽減効果について臨床研究を3年に渡り行い、Phase 2に至った。セミナーの導入として、患者の苦痛を軽減させた「音」の効果を解説する。

可聴化技術(ソニフィケーション)により生体情報を音や音楽で共有
ソニフィケーションと呼ばれる可聴化技術は、生体情報を音・音楽・空間で表現し、実態の把握に留まらず感性的に情報を共有することができる技術である。最近では、髪の健康状態を音楽にし、分かり易くかつ体験的に顧客に伝える新手法をロレアル社と共同で確立。IFSCC世界大会(2年毎に行われる化粧品技術を競う世界大会)で最優秀賞を受賞した。更に、その音や音楽によって創られた空間は、フィードバック効果等の様々な好影響を与えることもできる。セミナーでは特別にその実際の音を披露する。

「ウラノリメソッド」による心身の活性化のプログラム体験
心身活性化のプログラムとして、「ウラノリメソッド」の体験をして頂く。ウラノリは、音楽のリズム感を向上させる極めて簡単かつ有効な方法であり、医療現場でも実際に使われているリズム追従手法を応用した画期的なメソッドである。患者とのコミュニケーションにも有用であり、応用として、指のみの簡単な動きで同様の効果をもたらす方法もご紹介する。

指向性制御で広大な空間の中に多くの小さい空間を
指向性制御を用いて広大な空間の中に多くの小さい空間を創るゾーニング技術もご紹介する。空間の分離には主に衝立や仕切りを用いることが多いが、音の技術を用いれば、それらを使わずに小空間を創出することができる。具体例として、東京表参道ヒルズで行われた音響技術を視覚化し、解説する。病院空間もエリアごとの目的に応じた音響的小空間に分けることが可能となる。

医療機器の発する音への応用
最後に、発車メロディの元祖である講演者により、医療機器の発する音の改良とコーディネーションを提案する。講演者が開発した発車メロディは、「短い音で情報を伝える」技術の集大成とも言える。聴覚は、数ミリ秒で情報を認知できる高精細なシステムであり、医療機器から伝えられるべき情報や、発せられる音の周囲への影響等を鑑み、どのようにコーディネートされ得るかを皆様と一緒に考える時間としたい。