[SY14-1] 医療の質改善と医療の質指標
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医学・医療が進歩するとともに、提供できるはずの医療と現実に提供される医療との較差が拡大している。この較差を縮めることがすなわち医療の質を高めることである。医療の質は「個人や集団を対象に行われる医療が望ましい健康状態をもたらす可能性の高さ、その時々の専門知識に合致している度合い」と定義され、主要な領域として安全、効果的、効率的、公平、患者視点がある。医療の質を反映する定量的な評価指標が「質指標(Quality Indicator、臨床指標 (clinical indicator)」であり、構造(structure)、診療の内容・過程(process)、診療の結果(Outcome)で測定される。質指標は経時的な変化や国内外ベンチマークと比較することで、自施設の医療の質改善に用いることができる(quality improvement)。また、社会への報告(public reporting)にも用いられるし、行政・認証機関に対して診療報酬支払、病院認証、学会認証にも用いられる。自施設の質改善目的には、プロセス指標が、社会への報告にはアウトカム指標が用いられることが多い。エビデンスに基づく標準的な医療を安全、効率的に提供するには医学的アプローチに加え、産業界で発展した品質管理学の手法を応用することが必要である。Quality Improvement(質改善)と呼ばれる学際領域であり、日本の産業界で発展した各種の手法が用いられている。2014年にOECD(経済協力開発機構)は日本の医療に関する報告書を発表し、日本の医療水準は高いものの、医療の質を評価し改善する取り組みが諸外国に比べ遅れていることを指摘した。本シンポジウムでは、医療の質と質改善の概念、医療の質指標の選定、測定、活用法についてまとめたい。