第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

シンポジウム

[SY19] シンポジウム19
集中治療における高度実践看護師の役割

2019年3月3日(日) 14:15 〜 15:45 第5会場 (国立京都国際会館1F Room D)

座長:宇都宮 明美(京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻), 鈴木 智恵子(日本医科大学付属病院看護部)

[SY19-2] 集中治療における診療看護師の役割

野呂 美香, 吹田 耕治, 池田 達弥, 永谷 創石, 森田 真純, 島田 由美子, 重冨 杏子, 渡辺 弘之 (東京ベイ・浦安市川医療センター 診療部)

集中治療における診療看護師の役割<3つの側面から検討>
【共同演者】野呂美香 吹田耕治 池田達弥 永谷創石 森田真純 島田由美子 重冨杏子 渡辺弘之 
【所属】東京ベイ・浦安市川医療センター
 最近では看護師の多様化が進み、認定看護師や専門看護師以外にも、周麻酔期看護師や、我々診療看護師といった制度も誕生し、看護師の臨床でのフィールドも拡大されつつある。
 当院では認定看護師6名、専門看護師1名、診療看護師7名が各分野で活動している。今回のテーマである【集中治療における高度実践看護師の役割】についてだが、診療看護師の役割は大きく分けて3つあると考える。1つ目は《集中治療が必要な患者への直接のアプローチ》2つ目は《集中治療現場での他職種との連携》そして3つ目が《集中治療が必要になる状況の回避→予防、教育》である。
 我々診療看護師は、指導医の指導のもと直接患者さんを診察しアセスメント、評価、転帰を決定することもある。重症な患者さんを担当しそのまま集中治療室に入院となる場合もある。集中治療医と直接ディスカッションすることもあるため、集中治療の基本的な知識や、アセスメント能力、プレゼンテーション能力、必要な特定医行為を行う技術は必須な能力であると言える。また、臨床の場面で、患者さんについての情報や治療方針を他職種と共有し、同じゴールに向かって患者さんに関わっていくということが重要であると感じている。医師やコメディカルだけでなく、受け持ち看護師を始め、認定看護師や専門看護師と意見を交換し、患者さんにとってのより最良の医療とは何なのかを議論していく必要がある。その際に橋渡し的存在として診療看護師が活躍できる場はあると考える。さらに、集中治療が必要な状況の回避、予防、教育に関しては、当院ではRRS(rapid response system:急変前徴候を早期に察知して対応し、予期せぬ心停止を防ぎ、予後を改善させるシステム)がありチームを形成し、RRS症例の振り返りや院内シミュレーションなどを行っている。診療看護師も実際にチームに入り、シミュレーション時の講義などを担当している。集中治療というと、重症な患者さんの治療や看護が議論されがちだが、重症化を予防するといった視点も集中治療における重要な役割であると考える。
 直接重症な患者さんに関わる際の集中治療、より最良の医療を提供するための他職種との連携、重症化し集中治療が必要になる状況の回避のための教育といった点が診療看護師の役割の一部ではないかと考える。
 本日のシンポジウムのディスカッションを通して、我々診療看護師の集中治療領域でのさらなる可能性を発見していきたいと思う。