[SY2-1] 重症疾患のサルコペニアに対する治療戦略
集中治療に伴うMuscle wasting やICU-acquired weakness (ICU-AW)は、安静による骨格筋萎縮などの間接的要因のみならず、タンパク分解を促進する機序、骨格筋の賦活化を抑制する機序、栄養学的な機序などの直接的な要因などが複合的に関連し発症すると考えられている。これらMuscle wastingやICU-AWは、集中治療のアウトカムのみならず、退院後の身体的・精神的機能的予後とも密接に関わる重症疾患に共通する喫緊の課題である。最近では、このような集中治療を要する重症疾患に伴い、急激に進行するサルコペニアをEuropean Working Group consensus on Sarcopenia in Older People 2(EWGSOP2)では、Acute sarcopeniaと定義することが提案されている。一方、集中治療を要する重症疾患に伴い急激に生じるAcute sarcopeniaに対する標準的な治療戦略は確立していないのが現状であり、Acute sarcopeniaに対する効果的な薬物療法、栄養療法ならびに運動療法などのエビデンスの構築が急務となっており、現状ではICU-AWやAcute sarcopeniaの進展を最小限に留めることが最低限の治療目標と考える。そのため、迅速かつ系統的な評価および多職種による共通理解のもと、適切な集中治療と並行して、2次性の合併症予防を目的とした看護ケア栄養療法および早期離床・早期リハビリテーションが重要と考える。