[SY22-5] 多職種の集学的治療により長期間にわたるVV-ECMOからの離脱を可能とした重症肺炎の一例
【 ライブ配信】
【背景】VV-ECMOは究極の肺保護戦略として位置付けられている治療法である。しかし、出血や感染などのリスクが常に伴うため、長期にわたるECMO管理を維持するのは非常に困難である。医師・看護師・臨床工学技士・作業療法士などの多職種が集学的に携わることで、多くのリスクを克服し、長期のECMO管理を可能とし、最終的にECMOを離脱できた症例を経験したので報告する。【臨床経過】症例は57歳、男性。メーカー関係の仕事をしており、海外出張が多い職務であった。香港・タイからの帰国後、4日目より発熱・咳嗽が出現し、近医を受診した。肺炎と診断され、前医へ紹介入院となり、CTRXでの加療を受けていた。しかし、入院3日目より呼吸状態の悪化に伴い、高濃度酸素でも酸素化が維持出来図、気管挿管・人工呼吸管理が必要となったため、当院へ転院となった。搬送後、速やかに気管挿管を行い、人工呼吸管理を開始した。しかし、酸素化の改善はなく、入院4日目にP/F=56となり、レントゲンでも両肺野全域にわたる浸潤影の増悪も認めたため、入院4日目にVV-ECMOを導入した。導入後は肺保護換気を行い、ELSOのガイドラインに則って管理を継続した。しかし、呼吸状態の改善が見られず、入院24日目に気管切開を実施し、リハビリを進める方針とした。入院36日目より、完全側臥位や坐位、43日目には完全腹臥位での管理が可能となった。それをきっかけに徐々に呼吸状態も改善し、ECMOのサポートを下げられることができた。長期管理となったため、計4回の回路交換を実施したが、入院55日目、52日間のECMO管理を経て、離脱することが出来た。【結論】VV-ECMOは究極の肺保護療法であるが、離脱することが出来て、初めて成功と言える。本症例のように、ECMO離脱のためには原疾患の治療だけではなく、人工心肺を安全に管理する臨床工学技士、リハビリを実施する作業療法士、患者の全身ケアをする看護師が協働し、集学的治療を実践することでECMOの離脱へと導ける。多職種による集学的治療の重要性に関して文献的考察を交えて報告する。