第46回日本集中治療医学会学術集会

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シンポジウム

[SY23] シンポジウム23
術後集中治療における鎮痛

Sun. Mar 3, 2019 10:50 AM - 12:20 PM 第9会場 (国立京都国際会館2F Room B-2)

座長:天谷 文昌(京都府立医科大学附属病院疼痛緩和医療学教室), 戸部 賢(国立大学法人群馬大学医学部附属病院集中治療部)

[SY23-2] ICUでの良好な鎮痛は,術後患者の早期リハビリテーションを促進するか

仙頭 佳起1, 岩田 麻衣子2, 祖父江 和哉1 (1.名古屋市立大学大学院医学研究科 麻酔科学・集中治療医学分野, 2.名古屋市立大学病院 看護部 ICU・PICU・CCU)

ライブ配信】

【背景】退院時の日常生活動作(ADL)低下を予防するために早期リハビリテーション(以下,リハビリ)が重要である。米国集中治療医学会のPADISガイドラインでも2018年の改定の際にリハビリが大項目として追加されて注目を集めている。一方で,術後痛の管理を積極的におこなうことは,単に患者の苦痛を取り除くことを越えて,術後回復の質を改善させる可能性がある。しかし,リハビリの促進と適正な鎮痛との間に関連性があるかどうかはまだ明確になっていない。
【当院の取り組み】当院ICUにおけるリハビリは,開始基準や段階的プログラム内容を定めたプロトコルを使用して継続的に介入している。リハビリ開始基準には「CPOT≦2,NRS≦3」が,リハビリ中止基準には「CPOT>2,NRS>3」が苦痛(痛み)の項目としてそれぞれに含まれている。また,当院ICUにおける術後鎮痛では適応があれば硬膜外鎮痛の積極的な実施とオピオイド持続静注を中心としており,アセトアミノフェンなど他の鎮痛薬も積極的に使用している。平日毎朝おこなうブリーフィングのなかで,リハビリ進行状況と当日のリハビリ目標,鎮痛の状況,について必ず多職種の医療者間で共有している。当院ICUの術後患者を対象としたリハビリ実施状況と鎮痛状況に関する後方視的調査では,[1]リハビリ前には痛みがなくてもリハビリ開始後に出現することがある,[2]術後痛が原因で当日のリハビリを途中で中止した症例がある,[3]リハビリ開始後に術後痛が出たが鎮痛によりリハビリを継続できた症例がある,[4]痛みの程度とリハビリの進行状況に明らかな関連性を認めるには至らない,[5]リハビリ中止の原因は痛み以外にも多岐にわたる,ことがわかっている。
【展望】本邦でも2018年度の診療報酬改定で特定集中治療室管理料に早期離床・リハビリテーション加算が新設されたことが示すように,ICUにおけるリハビリは重症患者管理のなかで既に確固たる地位を確立し,今後ますます重要視されることになると思われる。重症術後患者のリハビリを促進する因子のひとつとして,術後鎮痛の可能性には注目する価値があり,ICUでの術後鎮痛について本邦の現状を把握し,最適な術後鎮痛法を検討することは重要である。そして,良好な術後鎮痛は,ICUの術後患者のリハビリを促進することに寄与するかを検証していくことが必要である。