[SY3-1] 集中治療領域の薬剤の安全管理を考える〜医師の立場から〜
【 ライブ配信】
【はじめに】集中治療室は,緊急性と重症性に対応する中央管理部門である。実際の管理では,患者2名に対して1名の看護師が配置され,医師による診断と治療が24時間の連続性として行われ,急性期病態の診断と治療が直ちに行われる特徴がある。参与する医療従事者は,原疾患に加えて,急性期病態学を専門として学び,急性期の診断と治療を発展させる役割を担う。集中治療の学術は,近年,急速かつ高度に成長しているため,各職は集中治療を専門として学ぶことが必要とされる。本シンポジウムでは,医師の立場から,薬剤使用の適切性と安全性を考える基盤を,薬剤師の皆さんとともに多職種連携の側面から検討する。【内容】1.薬機法と薬剤添付文書,2.昭和55年9月3日「保発第51号」薬理学的機序に基づいた「医師の裁量権」の振り返り,3.薬剤管理事例:医師・看護サイドへの鎮痛・鎮静への警鐘,プロポフォール等のフラッシュの危険性など,4.静注薬の適正使用について:静注薬の具体的使用方法における教育体制;添付文書通りに使用した場合の心肺停止等の可能性の問題について,5.集中治療専門医育成における薬剤教育の未来,6.医療事故と院内安全管理:集中治療領域の静注薬の正しい情報提供の必要性について。【結語】集中治療領域で使用する薬剤は,内服薬にとどまらず,静注薬を有効かつ適切に使用する特徴がある。ここには,①呼吸抑制,②循環抑制,③消化管抑制,④免疫抑制,⑤骨髄抑制,⑥横紋筋融解など,さまざまな合併症の事前的に阻止する能力が存在する。集中治療における薬剤使用では,薬理学的かつ病態生理学的に考えられる有利症状と有害素因をリストアップすることが必要である。このような留意事象を,「アセスメントの力」として「バンドル:思考内容束」として多職種で共有するなどの工夫がある。本シンポジウムでは,集中治療領域で使用する薬剤の「有効使用」と「安全管理」を考える素材として私のプレゼンテーションを構築する予定である。医療従事者の皆が,多職種連携として「最善」と「安心」を提供するための思索を共有したい。