[SY8-6] 当院での処置・鎮静時におけるRRS起動症例の検討
【背景】Rapid Response system(以下RRS)は気づきから早期に治療介入を行うことで、致死性の高い急変を防ぐシステムであり、多くの病院で導入が試みられている。一方、血液透析などの処置や内視鏡検査などの鎮静下に行う処置は、各診療科による単独管理や処置鎮静の施行が同一医師で行われることにより、しばしば急変に至るリスクを伴う。処置・鎮静時におけるRRS起動の報告はない。【目的】処置・鎮静時におけるRRS起動の実際を調査し、処置・鎮静時のRRS起動原因を追及することで急変のリスクについて調査する。【方法】当院における2014年5月1日から2018年7月31日までのRRS起動症例全例を対象にカルテで後方視的に調査を行い、処置・検査時に起動された症例を抽出する。抽出した症例について起動場所、介入内容、ICUへ移動の有無を調査する。【結果】期間中の全RRS起動件数は2070件であり、そのうち、処置・検査中のRRS起動は103件(5%)であった。起動場所はそれぞれ、血液浄化センター37件(35.9%)、内視鏡センター27件(26%)、血管造影センター10件(9.7%)、MRI撮影室10件(9.7%)、病棟処置室7件(6.8%)、CT撮影室7件(6.8%)、外来処置室4件(3.9%)、レントゲン撮影室2件(1.9%)であった。必要であった処置介入は吸引25件(24%)、マスク換気11件(10.7%)、気管挿管が4件(3.9%)と気道の介入が多く、酸素増量8件(7.8%)、急速輸液8件(7.8%)、CPR3件(2.9%)、介入なしが14件(13.6%)であった。またICU入室が必要であった症例が8件(7.8%)であった。【結論】当院ではRRSを集中治療担当麻酔科医が行っている。当院におけるRRS起動では、全体の5%が処置・鎮静中の起動であり、病棟患者だけでなく、処置時にも急変になり得る状況が多いことがわかった。特に処置施行時の鎮静は、処置の円滑な施行のため過鎮静になることも多く、気道のトラブルにより急変が起こる可能性がある。またICU入室が7.8%含まれており、RRSからICUへ円滑に移動できるシステムが重要であり、当院では集中治療担当麻酔科医がRRSに出動することで連携を可能としている。RRS起動症例を振り返ることにより、潜在する危険性を表在化することができた。