The 41st Annual Meeting of the Japanese Society of Intensive Care Medicine

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医師部門 » 症例検討“ドクターI(Intensivist)”

症例検討“ドクターI(Intensivist)”1 重症感染症

Fri. Feb 28, 2014 9:00 AM - 9:40 AM Room 5 (ICC Kyoto 1F Room E)

座長:大野博司(洛和会音羽病院 ICU/CCU)

“Speed is Life.” “Time is Life.”-冠動脈疾患、脳血管障害同様、重症敗血症、敗血症性ショックも救急疾患であり、最初の数時間の対応が予後を左右するため、迅速な診断・治療が要求される。重症敗血症、敗血症性ショックでは早期に診断し、1時間以内に適切な広域スペクトラムの抗菌薬を十分量、可能な限り早急に投与し、ひとたび起因菌・感受性がわかり次第de-escalationを行うこと、そして循環管理として6時間以内に循環が安定するように効果的に行うこと、そして臓器障害に応じて各種補助療法を考慮するといったSurviving Sepsis Campaign 2012および国内版敗血症診療ガイドラインの原則に従った治療の流れが重要である。ここでは、市中病院で遭遇する典型的な重傷敗血症・敗血症性ショック患者の診断および治療について、時間経過の中でプレゼンテーションすることで、明日からの臨床現場で役に立つ知識・技術の確認になることをねらいとしたい。

症例検討“ドクターI(Intensivist)” 2 重症熱傷

Fri. Feb 28, 2014 9:40 AM - 10:20 AM Room 5 (ICC Kyoto 1F Room E)

座長:石原諭(兵庫県災害医療センター)

症例は52歳、男性。製麺工場で作業中、突然釜から吹き出してきた湯気熱湯を上半身に浴びて受傷。受傷約30分後に来院。発声可能、嗄声なし。呼吸32/分、血圧162/84mmHg、脈拍98/分、意識レベルGCSE4V5M6、JCSI-1R、腋窩温35.8℃、顔面、頸部、両上肢に大部分2度と思われる、ごく僅かに3度が混じるscald burnを認め、Lund&Browder法によるBurnSheetを用いて評価したところTBSA32% Burn index 17であった。口腔内に発赤・水泡形成はないが、口蓋垂から咽頭にかけて粘膜の発赤腫脹を認める、鼻毛のこげやすす等の付着なし、喉の痛みを訴える。軽度のwheezingをびまん性に聴取するがstridorなし、酸素10L(リザーバー付きマスク)でSpO2 100%、著明な呼吸補助筋の使用はない。喘息を含めて特記すべき既往歴はなく、転倒転落、爆発のエピソードはない。本症例の詳細を提示し、修練医の議論を聞きながら聴衆も参加する形で行うべき集中治療を議論する。

症例検討“ドクターI(Intensivist)” 3 小児心臓外科術後

Fri. Feb 28, 2014 10:20 AM - 11:00 AM Room 5 (ICC Kyoto 1F Room E)

座長:竹内護(自治医科大学 麻酔科学・集中治療医学講座)、岩崎達雄(岡山大学病院 小児麻酔科)

小児心臓手術周術期管理は集中治療の極致とも言える分野であり、小児麻酔・心臓麻酔・小児集中治療などの知識と経験を必要とする。今回は氏家会長の特別のご依頼により、この症例検討を企画した。この分野での研修を始めて1-2年以内の若い先生方3名に登場を依頼し、シンポジストになって頂くこととした。良い問題を作成し、盛り上がる企画にしたいと考えている。この分野での本邦での治療成績は世界のトップクラスに近くなったが、若い麻酔科医・集中治療医にはまだまだ進出の余地のある素晴らしい分野であると考える。皆様の一助となれば幸いである。

症例検討“ドクターI(Intensivist)” 4 凝固線溶異常

Fri. Feb 28, 2014 11:00 AM - 11:40 AM Room 5 (ICC Kyoto 1F Room E)

座長:石倉宏恭(福岡大学医学部 救命救急医学講座(兼)福岡大学病院 救命救急センター)

重症患者を管理する際、凝固線溶異常の合併に遭遇する機会は多い。しかしながら、凝固線溶障害の評価を的確に実施できる集中治療医は残念ながら多いといえず、治療方針の決定に難渋する場合がある。ICU入室時の約50%の患者はすでに血小板減少状態にある。血小板減少の原因として最も発生頻度の高い病態はDICであるが、その他にヘパリン起因性血小板減少症やITP、あるいは溶血を合併するTTP/HUSを鑑別する必要がある。また、検査結果の把握の際にも注意を要する。抗菌薬が投与された患者や低栄養状態の患者などは凝固検査は異常を呈するし、採血の手順に配慮を欠いた場合も、凝固検査異常や偽性血小板減少症をきたす。また、肝障害に代表される基礎疾患自体が凝固線溶異常の原因となる場合がある。以上、今回は救急・集中治療領域でときに遭遇する凝固線溶異常について、評価手順ならびに治療法のポイントについて皆さんと一緒に考えたいと思う。

症例検討“ドクターI(Intensivist)” 5 終末期医療

Fri. Feb 28, 2014 2:00 PM - 2:40 PM Room 5 (ICC Kyoto 1F Room E)

座長:石川雅巳(呉共済病院 麻酔・救急集中治療科)

2007年の日本救急学会「救急医療における終末期医療に関する提言(ガイドライン)」や2012年の小児科学会「重篤な疾患を持つ子どもの医療をめぐる話し合いのガイドライン」で、終末期と判断すれば適切な方法で延命処置の差し控えや中止が具体的な選択肢となりうることが明示された。日本集中治療医学会は、救急医学会と共同で終末期医療ガイドラインを作成中で、同様のことが示される。ガイドラインが整備され治療の差し控えや中止のあり方が明確になりつつあるが、治療現場ではさまざまな要因で倫理的な問題として扱われる。本症例検討は、救急・集中治療の現場で遭遇するDNAR、人工呼吸や人工透析などの治療の差し控えや中止のあり方など終末期医療に関する倫理的な検討を、TV番組「ドクターG」の形式で行う。集中治療認定施設の若手医師と看護師が壇上の出演者となり、それぞれの倫理的考え方や治療方針などを述べ、会場の参加者と共に考えたい。

症例検討“ドクターI(Intensivist)” 6 急性中毒

Fri. Feb 28, 2014 2:40 PM - 3:20 PM Room 5 (ICC Kyoto 1F Room E)

座長:清田和也(さいたま赤十字病院 救命救急センター)

日本中毒学会では急性中毒の標準治療を公表している。その中では呼吸循環管理を始めとする対症療法に加え、中毒ならではの基本治療として、消化管除染、強制利尿、血液浄化法などの項目を挙げ、その標準化を図っている。本セッションではその主旨を考慮しながら、教育的な症例について検討を加える予定である。

症例検討“ドクターI(Intensivist)” 7 呼吸不全

Fri. Feb 28, 2014 3:20 PM - 4:00 PM Room 5 (ICC Kyoto 1F Room E)

座長:大塚将秀(横浜市立大学附属市民総合医療センター 集中治療部)

症例:46歳女性。身長155cm、体重46kg。1年前に全身倦怠感が出現。急性リンパ性白血病と診断され、化学療法を受けた。寛解に至って約6ヶ月前に同種骨髄移植を施行したが、その後再燃があり化学療法を受けていた。1ヶ月前から感染所見が悪化した。起炎菌は不明だったため、各種抗菌薬が投与された。昨夜から軽度の呼吸困難が出現した。酸素療法を開始したが酸素化不良が続くため、集中治療室に入室した。入室時はリザーバーマスクで酸素10L/minを吸入し、呼吸回数30/min、SpO2 89%。意識清明で、血圧164/96mmHg、心拍数102/min。昨夜は全く寝られず、やや憔悴した表情だが、不穏興奮はなく、問いかけには短い単語で応答可能だった。なお、職業は現役の臨床検査技士で、他院に勤務していた。家族は、夫のほかに10歳の娘と8歳の息子がいた。

症例検討“ドクターI(Intensivist)” 8 不穏

Fri. Feb 28, 2014 4:00 PM - 4:40 PM Room 5 (ICC Kyoto 1F Room E)

座長:祖父江和哉(名古屋市立大学大学院医学研究科 生体総合医療学麻酔・危機管理医学)

<不穏>は臨床現場でよく使用される用語であるが、明確な定義はない。急に発生した「穏やかでない状態」「落ち着かない状態」と認識されているのではないか。<不穏>の多くは、せん妄などの高次脳機能障害である。せん妄の誘発因子には、心理的因子、身体的因子、環境因子があるが、ICUでは非常に多くの因子が発症に関与する。また、様々な病態がおこるICUではせん妄以外の原因も念頭に置く必要がある。まず、不適切な鎮痛状態や鎮静状態でないことをチェックする。呼吸・気道の異常、循環の異常、中枢神経の異常など危機的問題の徴候である可能性も考える必要がある。さらには、カーテルの不快感、雑音、照明、温度などの環境要因も見逃してはならない。本セッションでは、<不穏>となった症例を取り上げ、その原因と対処を検討してみたい。

症例検討“ドクターI(Intensivist)”9 重症外傷

Fri. Feb 28, 2014 4:40 PM - 5:20 PM Room 5 (ICC Kyoto 1F Room E)

座長:宮庄浩司(福山市立市民病院 救命救急センター)

外傷特に多発外傷はその初期治療から一歩間違えると患者を死亡させる。初期治療から始まり、緊急処置、術後管理と他科との連携と多くの課題を一つ一つを解決していく必要がある。今回の症例は実際に当院に搬送され救命した症例である。【症例】42歳男性、1000ccバイクで走行中,時速60km/時で乗用車に激突し受傷。ヘルメットは着用とファースト コール。セカンド コールでは血圧67/59、心拍数、105/分。意識はJCSの1ケタ。約10分で到着とのこと。病院到着時、バックボードにて全脊柱固定。奇異性呼吸、左右の前胸部に皮下気腫あり。この症例にまず何から行うか?主治医として決断すべき処置は多くその手順や理由、人工呼吸管理 循環管理の考え方など、外傷治療には正解というよりも間違っていない処置を選択すべきであると考えられるが、最終的には救命するまでを回答者とより良い治療を模索していきたい。