シンポジウム 1 終末期医療をどのように国民の皆様にご理解いただくか ―「安楽死」との間
2015年2月9日(月) 09:00 〜 10:30 第1会場 (ホテル日航東京 1F ペガサスA+B)
座長:氏家良人(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科救急医学分野), 丸藤哲(北海道大学医学研究科侵襲制御医学講座救急医学分野)
集中治療においてわれわれは、可能な限りのあらゆる治療手段を用いて重症患者の救命に当たっています。しかし、それらをもってしても救命することができない場合があります。従来であれば、患者は死を迎えることになりますが、集中治療の進歩は人工呼吸管理、心臓の機械補助、血液浄化、栄養管理などの生命維持治療を続けると、患者を死に至らしめず、しかし、活かすこともできない状況を作ることがあります。それも、決して短い期間ではなく・・・。
また、一方で集中治療を求める瀕死の患者が、ベッドが満床ということでその機会を与えられない場合があります。
人の生命とは重たいものであること、とくに家族や親しい友人にとってはかけがえのないものであることは、集中治療に従事する者は十分認識しています。だからこそ、睡眠時間を削り新しい知識や技術を日常的に学び、集中治療という過酷な現場で救命にあたっています。そして、回復した患者や家族の喜びがわれわれのエネルギーの源となっています。
人は必ず死を迎えることは誰もが知っています。その死は、“最期”と捉えるか次の新しい“始まり”と捉えるかは人によって、また、宗教などによっても異なります。集中治療は最も死と対面する医療分野とも言えます。死を受容していただくことは医療者だけの論理や倫理の枠に留まるのではなく、個々の患者、家族の想いを十分理解することが必要になります。その一方で、治療の限界、医療経済、患者に対する公正性などの考慮も必要になります。また、医療者は当然ながら我々を取り巻く法律、臨床倫理、緩和医療に関しての知識が求められます。
このシンポジウムは会員の演者は1名のみで、他の方々は法律、生命倫理、臨床倫理、マスコミなどの分野の第一線で活躍されている方々です。結論は出ないかもしれませんが、われわれにとって極めて有意義な討論となることを期待しております。
○貝沼関志 (名古屋大学医学部附属病院外科系集中治療部)
○津田恵香 (日本放送協会報道局)
○前田正一 (慶應義塾大学SFC研究所健康マネジメント研究科)
○小松美彦 (武蔵野大学薬学部)
○会田薫子 (東京大学大学院人文社会系研究科)
○井上清成 (井上法律事務所弁護士)