第34回日本環境感染学会総会・学術集会

セッション情報

パネルディスカッション

パネルディスカッション1
薬剤耐性(AMR)対策からみた地域連携の推進

2019年2月22日(金) 15:05 〜 16:35 第1会場 (神戸国際展示場 2号館1F コンベンションホール)

座長:高山 義浩(沖縄県立中部病院感染症内科・地域ケア科), 松永 展明(国立国際医療研究センターAMR臨床リファレンスセンター)

【座長の言葉】
薬剤耐性菌対策は、公衆衛生上最も重要な課題の一つであり、世界中で取組みがなされている。特にアジア諸国では、腸内細菌科細菌におけるカルバペネム、腸球菌属におけるバンコマイシン耐性が問題となっている。本邦では、これらの耐性菌は制御されているが、大腸菌における第 3 世代セファロスポリン系薬剤及びフルオロキノロン系薬剤への耐性率は増加傾向にあり、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌の割合も未だに高い水準にある。
一方、日本は超高齢社会を迎えようとしている。高齢者が増加すれば、それだけ医療と介護の需要も増大する。ただし、増大するのは病院で治癒が目指せる急性疾患ではなく、共存しながら暮らすことを目標とすべき慢性疾患へと移りつつある。そして、医療が必要な状態であっても住み慣れた地域で安心して暮らし、人生の最期を迎えることができる地域包括ケアシステムが推進されており、様々な慢性疾患を抱えながらも自宅や施設で生活する高齢者が増えてきている。
医療的なサポートを含む在宅ケアの重要性が高まっており、経管栄養や気管切開、ストーマなどの管理が求められるようになってきた。感染症への抵抗力が低下している高齢者が、デイケア、デイサービスを集団で利用し、あるいは介護施設に暮らしている。そして、市中感染型の薬剤耐性菌が増加していることに気づかれるようになってきた。
日本における薬剤耐性菌の増加とは、こうした時代背景のなかで捉えていく必要がある。そして、医療と介護それぞれの役割を果たしながら、連携を深めることで薬剤耐性対策を含めた諸処の課題に取り組んでいく姿勢が求められよう。
本パネルディスカッションでは、急性期病院、回復期病院、介護施設、市中の保険薬局、そしてAMR対策の推進にあたる専門的立場それぞれから発言いただき、地域連携の視点から薬剤耐性菌を減らすための施策について考えたい。

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