第34回日本環境感染学会総会・学術集会

セッション情報

パネルディスカッション

パネルディスカッション4
内視鏡の感染管理

2019年2月22日(金) 10:35 〜 12:05 第5会場 (神戸ポートピアホテル 南館1F 大輪田C)

座長:小野 和代(東京医科歯科大学医学部附属病院 看護部), 赤松 泰次(長野県立信州医療センター)

【座長の言葉】
内視鏡は診断だけでなく低侵襲性治療にも用いられ、様々な分野の診療に利用されている。消化器内視鏡は近年めざましい進歩を遂げ、きわめて有用なツールとして一般に広く普及している。しかし、時に血液や体液が飛び交う内視鏡室は、院内の他部署に比較してきわめて不潔な環境下にあることを認識しておく必要があり、十分な感染管理が必須である。内視鏡機器を介した患者間の感染防止だけなく、患者から内視鏡従事者への感染予防にも配慮しなければならない。
内視鏡機器は標準予防策の原則と Spauldingの分類に従い、スコープは「semi-critical」として高水準消毒を1回使用毎に行い、内視鏡処置具の多くは「critical」として滅菌またはdisposable使用が必要である。現在、高水準消毒剤としてわが国で認められているのは、グルタール、フタラール、過酢酸の3種類であるが、消毒薬の毒性や換気の問題について配慮する必要がある。そのため、扱い易さや安価を理由に、強酸性電解水をはじめとする機能水をスコープの消毒に用いる施設が少なくない。また、内視鏡処置具の再生処理が正確に行われていない施設が少なからず存在する。
一方、患者から内視鏡従事者への感染予防には個人用防護具(手袋、ゴーグル、マスク、ガウンなど)の着用が必要であるが、防護具を着けずに施行する内視鏡従事者(特に内視鏡医)が多いのが現実である。さらに検査終了後の汚れた手袋をつけたまま、電話に出る、PCを操作する等で、内視鏡室内に汚染を拡散してしまう内視鏡従事者を散見する。目に見えない病原微生物を相手にしている以上、内視鏡従事者は清潔と不潔の区別を常に意識して行動しなければならない。特に新人スタッフに対する教育が重要である。内視鏡の感染管理は、単にガイドラインを遵守した内視鏡機器の再生処理だけでは不十分で、内視鏡従事者全員が常に清潔操作を意識して行動するように繰り返し啓発してゆく必要がある。

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