第34回日本環境感染学会総会・学術集会

セッション情報

シンポジウム

シンポジウム5
今一度、結核を考える

2019年2月22日(金) 16:40 〜 18:10 第3会場 (神戸国際展示場 2号館3F 3A会議室)

座長:長谷川 直樹(慶應大学), 三浦 美穂(久留米大学病院 感染制御部)

【座長の言葉】
 我が国の結核罹患率は低下傾向にあるとはいえ、2017年には13.3/人口10万人・年であり中蔓延国に相当する。
 多くは医療機関で発見されるが、それは医療者が結核を疑い、適切な菌検査を行うことによる。診断が遅れることは、抗結核療法の開始が遅れるために患者にとり不利益になるとともに、周囲への感染拡大の機会を増やすことになり周囲の者へも不利益となる。
 今後、罹患率が低下しても、結核発病リスクの高い様々な基礎疾患を有し、医療を利用する機会の多い高齢者の増加に伴い、我が国ではいかなる臨床の現場においても結核患者と接触する機会があることを認識する必要がある。また、若年者では外国生まれの結核症例が増えているが、観光立国や外国人労働者の受け入れなどの推進に伴い、今後結核は輸入感染症の様相を呈し、高齢者とは異なる経緯で臨床の現場で遭遇する機会も増えると思われる。
 排菌陽性者との接触者の中には接触の程度により一定の確率で感染が起こり、さらにその一部が発病する構図は変わらない。
 結核は潜伏期も長く、実際に感染者から発病する者も10~15%であり、発病リスクは個々に異なるうえ、最も対策の難しい空気感染で伝播するためその対策には多面的になる。
 疑い例も含め患者、医療者の適切な個人防護具の装着や隔離に加えて、自他覚症状にかかわらず疑うこと(忘れないこと)、良質な検体を採取し、適切な菌検査を行うこと、曝露があった場合には行政と相談しながら接触者検診を実施し適切に管理すること、発病のリスクの高い者には潜在性結核感染症治療を行い確実な服薬を支援すること、本シンポジウムで取り上げられるこれらのテーマ一つ一つが結核感染対策の大切な一コマになる。
 参加された皆様の結核に対する理解が深まり、明日からの対策に活かしていただけたら幸いです。

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