○川村 英樹1, 天達 菜緒2, 茂見 茜里1,2 (1.鹿児島大学病院 医療環境安全部 感染制御部門, 2.鹿児島大学病院 薬剤部)
セッション情報
シンポジウム
シンポジウム8
SSI対策:ガイドラインの現場での標準化
2019年2月22日(金) 08:30 〜 10:30 第8会場 (神戸国際会議場 1F メインホール)
座長:森兼 啓太(山形大学医学部附属病院 検査部), 久保 正二(大阪市立大学大学院医学研究科 肝胆膵外科学)
【座長の言葉】
SSI対策は多岐に渡り,海外のガイドラインを参考にわが国でも標準化が進んできた.しかし一定のエビデンスが存在するにも関わらず,実施されていない対策も多い.そこで今後標準化が望まれる対策についてシンポジウムを企画した.
川村英樹先生が講演される予防抗菌薬については,いまだ投与期間が長く,時に内服薬へのスイッチも行われている.適正使用が望まれる一方で,昨年日本外科感染症学会から発刊されたガイドラインにも記述のあるように,投与期間についてのエビデンスは意外に乏しいという課題もある.
畑啓昭先生が論文発表された,大腸手術での術前経口抗菌薬投与に関するRCTは,海外のガイドラインでも引用されている日本発の重要なエビデンスである.かつて術前3日間の内服抗菌薬投与により耐性誘導が問題になったわが国では,シニアの外科医を中心に経口抗菌薬への心理的抵抗がある.若い世代での再評価と実践が望まれる.
高橋佳子先生は,MRSAの鼻腔内保菌対策について論文発表を行ってきた.心臓外科手術やインプラントを用いた整形外科手術のみならず,消化器外科領域でも有用性が認められたと述べている.対象,保菌検査方法,除菌方法など課題が多いが,MRSAが多いわが国で取り組むべき重要な課題である.
土田敏恵先生には周術期の血糖管理についてご講演頂く.血糖管理の重要性は周知されているが,どのタイミングの血糖値を測定すべきか,目標血糖値はどの範囲か,血糖調節の方法をどうすべきか,といった具体的な管理手法は標準化されているとは言い難い.
最後に世界のリーダーとしてSSI予防に関する多数の論文を発表されているStephan Harbarth先生にご講演頂く.サーベイランス,抗菌薬の適正使用など幅広い分野で活躍され,近年では薬剤耐性菌の問題にも取り組まれている.わが国におけるSSI対策の標準化に向けて,示唆に富む話を拝聴できると期待している.
○畑 啓昭1, 坂井 義治2 (1.国立病院機構京都医療センター 外科・感染制御部, 2.京都大学消化管外科)
○高橋 佳子1, 竹末 芳生2 (1.兵庫医科大学病院 薬剤部, 2.兵庫医科大学 感染制御学)
○土田 敏恵1,2, 竹末 芳生2, 一木 薫2, 植田 貴史2 (1.兵庫医療大学 看護学部, 2.兵庫医科大学 感染制御部)
○Stephan Harbarth (Infection Control Program, Geneva Univ. Hospitals, Geneva)