第34回日本環境感染学会総会・学術集会

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ワークショップ

ワークショップ5
抗菌薬適正使用をどう進める?感染症専門医がいない施設の取組み

2019年2月23日(土) 08:40 〜 10:10 第10会場 (神戸国際会議場 4F 401+402)

座長:水谷 哲(大阪警察病院感染管理センター), 吉岡 睦展(宝塚市立病院 薬剤部)

【座長の言葉「多職種連携で主治医を支援」】
 ASP(抗菌薬適正使用支援プログラム)を実践するためのガイダンスが、日本化学療法学会など8学会合同微生物薬適正使用検討委員会によって公表された。抗菌薬適正使用に向けて、感染症診療・感染制御に関わる院内の医療従事者が取るべき行動をまとめたものであるが、感染症専門医がいない医療機関に対しても「自施設で何ができるか、まず考えることから第1歩を踏み出すことが望ましい」としている。
 薬剤師は、特定抗菌薬使用の届け出や長期投与の管理、TDM(治療薬物モニタリング)実施対象の抗菌薬への関与などで感染症治療に貢献できる。抗菌薬の開始・変更では、病態に応じた抗菌薬選択の助言、併用薬や臓器障害など患者状態に合わせたPK/PD理論に基づく投与量や投与間隔の調整についても積極的に提案し、その後は副作用の有無を監視しながら、主治医と共に病態が落ち着くまでフォローすることで信頼を築くことになる。
 検査技師は、病態を把握した上で臨床微生物検査を正確かつ迅速に行い、その結果を適切に判定し、耐性菌情報を含め迅速に臨床へフィードバックすることで抗菌薬適正使用に関与できる。また、感染部位からの検体採取は必須で、そのグラム染色情報はempiric therapyに極めて重要であり、適切な抗菌薬選択につながる。外注対応をしている施設では、検体の保存方法や結果の迅速なフィードバックなどを適正に行うことが重要となる。
 看護師は、患者と接する時間が長く、患者背景やバイタルサインの変化など感染症診断や抗菌薬選択に役立つ情報量を多く持っている。また、患者に直接接触する機会も多いため、耐性菌保菌患者の院内感染防止対策などにも積極的に関わらなければならない。
 本ワークショップでは、感染症診療における主治医に対して、多職種が連携することでどのように支援できるのか、「信頼関係の構築」と「知識のブラッシュアップ」をキーワードに明日から役立つ対応を皆で考えたい。

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