第95回日本医療機器学会大会

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Oral presentation

輸液・シリンジポンプ

輸液・シリンジポンプ

[109] SS型シリンジポンプと生理食塩液プレフィルドシリンジの適合性の検討

室谷 黎奈1, 松本 剛直1, 太田 稔1, 佐々木 俊介2 (1.北海道大学病院 ME機器管理センター, 2.㈱ムトウテクノス)

【背景・目的】
プレフィルドシリンジ(以下PFS)は感染や医療過誤を低減させる有用性から臨床現場で普及している.しかしシリンジポンプによる投与において精度を規定する外筒の外径や内径の規格はPFSで統一されておらず,流量精度と警報機構への影響は明らかにされていない.今回,シリンジポンプを用いた生理食塩液PFSの投与における流量精度と閉塞検出について検討した.
【対象・方法】
シリンジポンプはテルモ社製TE-SS835N(SS835N)を4台使用した.シリンジは生理食塩液を用手的に充填した汎用注射筒テルモシリンジ(TS)を対照とし,PFSはニプロ生食注シリンジNP(PFS-N)と生食注オーツカ(PFS-O)を用い,流量制度と閉塞検出圧を計測した.シリンジサイズはTSとPFS-Nは10mL・20mL・50mL,PFS-Oは10mL・20mLとした.流量精度は送液開始から1時間予備運転し,以降1時間後の積算量が流量精度±3%を満たす場合を合格とした.閉塞検出の検出設定は工場出荷時同様3段階中の2(70±15kPa)とし,閉塞検出圧を計測した.流量設定は1mL/時と5mL/時とした.計測にはメッツ社製Infutest2000を使用した.シリンジと流量の各組み合わせを2回測定し,平均値を算出した.
【結果】
流量精度は1mL/時においてTSの20mL(3.01%)と50mL(4.44%)で逸脱したが,PFSは全て合格であった.閉塞検出圧はPFS-N10mLの1mL/時(85.14kPa)と5mL/時(88.19kPa)で検出圧力を超過したが他は合格であった.また,PFS-O10mLはSS835Nでシリンジサイズを認識できなかった.
【結論】
本検討ではSS835Nが認識しないPFS-O10mLを除き,PFSは流量精度の範囲内であった.閉塞検出圧はPFS-N10mLで基準値を超過したが,基準範囲からの差は0.14-3.19kPaであり臨床上問題になるとは考え難い.そのため,PFS-NとPFS-Oは本特性を理解しSS835Nで使用できると考えられる.