第95回日本医療機器学会大会

講演情報

一般演題

検査機器

検査機器1

[13] 測定治具を用いたACインレットの定量評価への取り組み

成田 紘生1, 佐藤 貴彦1, 天内 雅人1, 南谷 克明1, 山崎 大輔1, 成田 孝行1, 宗万 孝次1, 平田 哲2 (1.旭川医科大学病院 診療技術部 臨床工学技術部門, 2.旭川医科大学病院 手術部)

【はじめに】
 シリンジポンプや輸液ポンプなどに用いられているACインレットは,抜き差しをおこなうため,保持力が低下し電源コードが脱落することがある.当院では6ヶ月に1度の定期点検の際にJIS T 1021に定められている15~60Nを参考に,15N相当の保持力を模擬した治具を独自に作成し,その着脱加減により交換をおこなっている.今回,保持力測定治具アルバック社製HMJ-S(以下HMJ-S)を使用し,当院で交換対象となったACインレットの定量評価を実施したため報告する.
【対象・方法】
 2019年1月~12月までに交換されたテルモ社製のACインレット20個を対象とした.HMJ-Sを用いた保持力試験の方法はJIS C 8306に参考に実施した.試行回数はACインレット1個に対し各5回測定し,最小値・最大値・平均値を算出した.

【結果】
 交換済みのACインレット20個に対して計100回実施したところ,最小値40.3N・最大値67.9Nであり,交換されたACインレットの最小値の平均が50.3±6.4N,最大値の平均が58.7±5.4Nであった.全体の平均値は54.8±6.4Nであった.
【考察】
 定期点検時,15Nを模擬したモデルでの点検は個人の感覚に頼る面がある.そのため,交換指標に個人差が生じてしまうことや,電源コードとの組み合わせによって,定期点検後にもACインレットの交換が必要なことがある.今回の測定結果より,測定治具を用いた点検は簡便さと個人の感覚による誤差の軽減に有用であると考えられた.測定治具を用いた定期点検をおこなう場合,ACインレットの使用年数などを考慮し,交換時期や保持力測定時期を検討していく必要があると思われた.
【結語】
 測定治具を用いることで,ACインレット保持力低下の定量的な評価が可能となった.