[18] 血液透析シャント音の音響分析による狭窄音判別方法の検討
【目的】
血液透析で使われる自己血管内シャント(シャント)ではシャ ント付近の血管が狭窄する問題があるため,聴診したシャン音から狭窄を診断する方法がおこなわれている.しかし,聴診音の診断には熟練が必要である.透析専門のスタッフでも同じ音を聴いても臨床経験の違いによってその診断が異なる場合も多い.この問題を解決するため複数の臨床サンプル音の特徴量を教師データとして学習し診断する方法などが提案されている.しかしまだ実用化に至っていない.今回,シャント音を音響分析して得た特徴量を使い,正常なシャントとそうでない音の違いをマハラノビスの距離(MD値)の大きさで判別する方法を検討した.実験データをもとに本方法の有効性を評価したので報告する.
【方法】
シャント音の特徴量として,人の聴覚特性を考慮した音響パラメータであるメルケプストラム係数とシャント音の持続時間に対応する値を特徴量として用いる.シャント音の振幅データを時間方向に集計した確率ヒストグラム分布の高さを持続時間として使う.シャント音をウエーブレット変換しシャント音特有の拍動波形を顕在化した波形を分析する.判別方法としてマハラノビスタグチ法(MT法)を使う.まず正常データの特徴量のみで判別の基準となる単位空間を作成する.次に L20 直交表で,特徴量使う/使わないの組み合わせを作成する.この組み合わせで狭窄音のMD値を計算し,分散分析により主要因子を推定する.次に主要因子のみでMD値を再計算する.判別の閾値は狭窄音のMDから決定する.
【結果とまとめ】
血液透析スタッフのトレーニング用として作成されたCDに収録されているシャント音から正常音と狭窄音のデータ数をそれぞれ20と30サンプル選び提案した方法を評価した.その結果,等価誤り率は約6%で,約90%以上の判別率が得られた.提案手法は狭窄音の判別に有効であることが分かった.
血液透析で使われる自己血管内シャント(シャント)ではシャ ント付近の血管が狭窄する問題があるため,聴診したシャン音から狭窄を診断する方法がおこなわれている.しかし,聴診音の診断には熟練が必要である.透析専門のスタッフでも同じ音を聴いても臨床経験の違いによってその診断が異なる場合も多い.この問題を解決するため複数の臨床サンプル音の特徴量を教師データとして学習し診断する方法などが提案されている.しかしまだ実用化に至っていない.今回,シャント音を音響分析して得た特徴量を使い,正常なシャントとそうでない音の違いをマハラノビスの距離(MD値)の大きさで判別する方法を検討した.実験データをもとに本方法の有効性を評価したので報告する.
【方法】
シャント音の特徴量として,人の聴覚特性を考慮した音響パラメータであるメルケプストラム係数とシャント音の持続時間に対応する値を特徴量として用いる.シャント音の振幅データを時間方向に集計した確率ヒストグラム分布の高さを持続時間として使う.シャント音をウエーブレット変換しシャント音特有の拍動波形を顕在化した波形を分析する.判別方法としてマハラノビスタグチ法(MT法)を使う.まず正常データの特徴量のみで判別の基準となる単位空間を作成する.次に L20 直交表で,特徴量使う/使わないの組み合わせを作成する.この組み合わせで狭窄音のMD値を計算し,分散分析により主要因子を推定する.次に主要因子のみでMD値を再計算する.判別の閾値は狭窄音のMDから決定する.
【結果とまとめ】
血液透析スタッフのトレーニング用として作成されたCDに収録されているシャント音から正常音と狭窄音のデータ数をそれぞれ20と30サンプル選び提案した方法を評価した.その結果,等価誤り率は約6%で,約90%以上の判別率が得られた.提案手法は狭窄音の判別に有効であることが分かった.