[23] 鋼製器具の不動態皮膜形成についての検証:パイロットスタディ
【背景と目的】
鋼製器具の機能をより長く維持するために,不動態皮膜の形成が重要である.一般的には,熱と酸素によって成長・強固になるとされ,繰り返し高圧蒸気滅菌をおこなうことが有用であると言われている.しかし本当に高圧蒸気滅菌が有用であるかの基礎的な研究はおこなわれていない.そこで,熱を加える高圧蒸気滅菌および恒温乾燥器での加温が有用であると仮説を立て,不動態皮膜形成に与える影響について検証をおこなうこととした.
【方法】
ステンレス製舌圧子(クロム18%ニッケル8%)に,以下の処理を施し不動態皮膜の形成状態を測定する.
前処理:ステンレス製舌圧子を固定し両面を#240のサンドペーパーにて,凡そ1kgの力で縦横それぞれ50往復させ研磨し,不動態被膜を破壊した.その後ベンゼンにて脱脂処理をおこない,RO水にて30秒間流水すすぎをおこない,圧縮空気にて十分に水分を飛ばした.
不動態化処理条件:ステンレス製舌圧子n=3に134℃・18分(前真空工程3回・乾燥工程35分)の条件で高圧蒸気滅菌をおこなった.別のステンレス製舌圧子n=3に対しては,60℃に設定した恒温乾燥器内に6時間静置した.
測定方法: 前処理後および各不動態化処理後のステンレス製舌圧子に対し,ステンレスチェッカ(ケミカル山本社製)を用いて,最大電位差を測定し不動態皮膜の形成状態を評価した.
【結果】
前処理において不動態被膜を破壊した後の最大電位差の値は0.34v±0.033であった.その後施した,不動態化処理条件高圧蒸気滅菌群の最大電位差は0.56v±0.012,恒温乾燥器群の最大電位差は0.55v±0.071であった.両群とも有意に増加したが,群間に差はなかった.
【結論】
本検証により高圧蒸気滅菌も恒温乾燥器での加熱処理も,不動体被膜形成につながっていることが示唆された.乾燥工程の重要性について,さらなる検討が必要である.
鋼製器具の機能をより長く維持するために,不動態皮膜の形成が重要である.一般的には,熱と酸素によって成長・強固になるとされ,繰り返し高圧蒸気滅菌をおこなうことが有用であると言われている.しかし本当に高圧蒸気滅菌が有用であるかの基礎的な研究はおこなわれていない.そこで,熱を加える高圧蒸気滅菌および恒温乾燥器での加温が有用であると仮説を立て,不動態皮膜形成に与える影響について検証をおこなうこととした.
【方法】
ステンレス製舌圧子(クロム18%ニッケル8%)に,以下の処理を施し不動態皮膜の形成状態を測定する.
前処理:ステンレス製舌圧子を固定し両面を#240のサンドペーパーにて,凡そ1kgの力で縦横それぞれ50往復させ研磨し,不動態被膜を破壊した.その後ベンゼンにて脱脂処理をおこない,RO水にて30秒間流水すすぎをおこない,圧縮空気にて十分に水分を飛ばした.
不動態化処理条件:ステンレス製舌圧子n=3に134℃・18分(前真空工程3回・乾燥工程35分)の条件で高圧蒸気滅菌をおこなった.別のステンレス製舌圧子n=3に対しては,60℃に設定した恒温乾燥器内に6時間静置した.
測定方法: 前処理後および各不動態化処理後のステンレス製舌圧子に対し,ステンレスチェッカ(ケミカル山本社製)を用いて,最大電位差を測定し不動態皮膜の形成状態を評価した.
【結果】
前処理において不動態被膜を破壊した後の最大電位差の値は0.34v±0.033であった.その後施した,不動態化処理条件高圧蒸気滅菌群の最大電位差は0.56v±0.012,恒温乾燥器群の最大電位差は0.55v±0.071であった.両群とも有意に増加したが,群間に差はなかった.
【結論】
本検証により高圧蒸気滅菌も恒温乾燥器での加熱処理も,不動体被膜形成につながっていることが示唆された.乾燥工程の重要性について,さらなる検討が必要である.