第95回日本医療機器学会大会

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Oral presentation

医療安全

医療安全1

[28] 高額放射線装置保守費用の見直しに関する一考察

谷内 亮水 (高知医療センター医療技術局)

【はじめに】
医療の高度化に伴い放射線装置も多機能化し,価格が高騰している.それに付随する保守費用も高額で経営を圧迫している.保守費用を軽減する目的にて前任者が平成28年4月に高額放射線装置の保守をフルメンテナンス契約からスポット点検契約に変更した.今回,保守契約の見直しに関して費用の検証をおこなったので報告する.
【対象装置と方法】
当院で使用している50百万円以上の高額な放射線装置であるCT装置3台,MRI装置3台,アンギオ装置4台,放射線治療装置2台,PET-CT装置1台,SPECT-CT装置2台の15台のうち,13台をフルメンテナンス契約からスポット点検契約とした.
【結果】
見積書からは15台のフルメンテナンス契約費用は261百万円,スポット点検費用は113百万円と算出された.しかし,平成29年度の15台のうちで,3台は平成29年4月購入装置であることから保守費用は発生せず,また,フルメンテナンスとスポット点検が混在している状況ではあるものの,実際に必要な保守費用を加味して再計算すると,フルメンテナンス契約費用は180百万円,スポット点検費用では79百万円,修理費用は69百万円であり,スポット点検+修理費用が32百万円安価となった.平成30年度では,保守費用は112百万円,修理費用は161百万円となり,フルメンテナンス契約費用を上回った.
【考察】
平成28年度から高額放射線装置をフルメンテナンス契約からスポット点検+修理に変更した.スポット点検+修理は保守費用が安価になる可能性が示されたが,逆に高額となることもあり,予算を把握するのは難しいと思われた.SPECTや放射線治療装置は故障が少ないとの報告もあり,スポット点検に変更する場合には,機種も考慮する必要があると考えられた.
【結語】
フルメンテナンス契約が費用を把握しやすく,安全管理上もメリットが大きいと考えられた.