第95回日本医療機器学会大会

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Oral presentation

医療安全

医療安全1

[30] 新JIS規格(JIS T 61331-3)対応放射線防護眼鏡の開発

加藤 京一1, 佐藤 久弥1, 小田切 章2 (1.昭和大学大学院保健医療学研究科, 2.ドクタージャパン㈱)

【目的】
ICRPの新基準によって水晶体の等価線量限度の引き下げが勧告され,水晶体の被ばく線量が大幅に制限される可能性がある.今回は,現場での水晶体被ばくの防護の状況を把握し,更なる被ばく低減対策のため,新JIS規格(JIS T 61331-3)対応の防護眼鏡を開発したので報告する.
【方法】
1)防護眼鏡の装着率について医師とスタッフに対して調査した.2)直接線の防護効率が100%となるガラスの鉛含有厚を算出した.3)防護眼鏡設計として総重量を感じさせないバランス設計や装着感を重視し設計した.4)臨床で用いる透視角度でファントムの水晶体位置に線量計を設置し散乱線の減弱を測定した.
【結果】
1)防護眼鏡装着率は医師で53%,スタッフで8%であった.2)管電圧100kV,半価層3.611mmAl,36.17keVで計算すると100%減弱には0.83mmPb以上が必要であった.3)眼鏡フレームの材質にはβチタンを用い軽量化を図り,また散乱線防護材としてレーデルに鉛コーティング,側面ガードも装備した.4)全透視角度において散乱線が減弱できた.
【結論】
今回開発した防護眼鏡は0.88mmPbを実現し,直接線で正面100%,側面0.365mmPbで99.8%の高い放射線防護効率を実現した.散乱線も同様に高い防護効果が確認できた.開発した本眼鏡はフレーム素材に超軽量・超弾性に優れるβチタンを採用し,後頭部まで覆うことができるロングテンプル式のフレームとし,フィット感を向上させた.鼻の固定も,シリコーン製エアークッションで作成されたノーズパッドにより,重量感を軽減し,掛け心地を重視した.加えて,視力矯正用の眼鏡を使用している医療従事者には,視力矯正用レンズを装着することを可能とした.本研究により,既存のものを上回る性能を持つ放射線防護眼鏡を開発できた.