第95回日本医療機器学会大会

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Oral presentation

医療安全

医療安全1

[31] 既存医療機器の改良事例報告-医工連携への挑戦から

-第2報

林 正晃 (第一医科㈱)

【背景】
2012年6月「医療イノベーション5か年戦略」が発行され医療機器産業での産学連携ないし医工連携に注目が集まる環境で,我々は公費事業に応募受託し既存医療機器の改良試作を短期間で達成したと2013年本学会で報告した.7年経過し製品が患者に到達した現状までの過程を報告し考察する.
【経過】
2012年に「よそにない製品サービスをだす会社になる」ことを社の戦略に設定し,(1)公募事業受託による体制構築と資金調達,(2)試作品開発と認証取得,(3)多施設治験実施,(4)一般的名称追加と製造販売承認,(5)関連学会による適正使用指針公開と保険適用告示,(6)レンタル事業構築に至り,2018年に製品が患者に到達した.
【結果】
(1)改良医療機器を事業化した.(2)対象医療機器改良の経過で得た知見を同時並行で他の医療機器開発に水平展開できた.(3)企業規模が拡大した.
【考察】
(1)自社単独で経験的におこなわれる医療機器改良開発ノウハウに医工連携を目的とした公費事業によるプロジェクト管理と支援などが加わることは有効である.(2)関連医療学会と足並みを揃えることが極めて重要である.(3)政府施策をモニタし関係省庁や有識者とコミュニケーションを維持することは有効である.(4)医療機器に関わる工業会や学会などへの継続的な参画は有効である.(5)社内体制の柔軟な変更と人材育成および自社の歴史を踏まえた経営戦略が極めて重要である.(6)開発・承認・販売など全てのプロセスで海外情報の継続的な入手が極めて重要である.
【結語】
業歴の長い中小企業にとって医療機器開発は困難だが,世の中を変えるポテンシャルがあると考える.