第95回日本医療機器学会大会

Presentation information

Oral presentation

医療安全

医療安全1

[32] 病院における患者利用のための無線LAN整備のあり方研究

酒井 順哉1, 岩田 優一1, 安田 大冴1, 小倉 陸2 (1.名城大学大学院都市情報学研究科保健医療情報学, 2.名城大学都市情報学部保健医療情報学研究室)

【目的】
 電波環境協議会の「医療機関において安心・安全に電波を利用するための手引き」によると,病院の無線LAN導入は7割強であるが,その用途の多くが病院スタッフ利用であり,患者に無線LANを提供している施設は2割弱に留まっている.
 本研究は,東京都と東海3県の一般病床200床以上の病院226施設の医療情報部門長におこなった無線LAN利用に関するアンケート調査結果から,病院における無線LAN利用のあり方について検討した.
【方法】
 調査は,質問用紙法を用い,無線LAN利用者,利用用途,利用場所,導入に関わる理由,周波数帯の使い分けについて尋ね,FAXでの回答を求めた.
【結果】
 アンケートは54施設(23.9%)から回答があり,以下のことがわかった.
1)無線LANはすべての病院で導入されているものの,医療スタッフ利用は10割であるものの,患者利用は4割弱の導入に留まっていた.
2)患者用に無線LAN開放の理由は,「患者サービスの一環」が9割強と最も多い一方,未開放理由は「導入コスト」が最も多かった.
3)入院患者用無線LANの利用対象エリアは「病棟の病室内」が7割と最も多かった.
4)患者用の無線周波数帯を医療スタッフ用と区分けしているかの状況は「使い分けている」,「同一周波数帯だが,SSIDとPWで分離」とも2割弱であった.
5)患者の無線LANの利用申請は,「PW設定のみでMACアドレス申請不要」が5割強,「PW設定もMACアドレス申請も不要」は3割弱であった.
【考察・まとめ】
 患者用無線LANの普及に関して,医療スタッフ用は普及し,実務で活用されているにも関わらず,患者用の無線LANが未整備である施設が約6割を占めているのは患者サービスの充実に資金事情から手付かずであるためと推測される.
 今後,患者に向けた無線LAN環境の拡大は患者のサービスの拡充,モバイル・ルータの無断持ち込み防止に期待ができるため,医療スタッフ向けと同様,積極的な導入を考える必要がある.