第95回日本医療機器学会大会

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Oral presentation

臨床工学業務

臨床工学業務

[35] 臨床工学技士業務拡張と人員増-臨床工学部30年の振返り-

小峠 博揮 (㈱麻生飯塚病院)

【目的】
当院では1990年「医療機器センター」として現臨床工学部が創設され30年目を迎える.臨床工学技士3名,補助スタッフ1名で産声を上げ,現在では臨床工学技士72名,事務スタッフ2名と技術部門の中でも大所帯の部署となり,業務内容も大きく変化,拡張をするに至った.これらを振返りつつ一定の検証をおこないたく,経緯をまとめることとした.
【概要】
母体である病院の開設は1918年,炭鉱従事者の医療機関として始まり,現在は1048床,従業員数約2400名,年間手術数は6千件程,地域基幹病院として変遷を遂げた.臨床工学部は1990年「医療機器センター」の呼称で開設され,技士3名,事務スタッフ1名の4名体制であった.開設当時の病院は1116床と現在より病床数は多かった.当時の業務は透析技術と人工心肺操作がもっぱらであった.早々に汎用機器の中央管理化,高気圧酸素治療の導入を果たしたが,ここまでの業務に留まっていた.2007年より,消化器内視鏡分野,心臓カテーテル分野への技士派遣,その後血液透析分野の拡充,ペースメーカ外来,ICU,周産期分野,医療機器開発部門,シミュレーションセンター,中央材料室,など多くの分野に臨床工学技士を専従させた.人員増,採用等に関しては容易ではなかったが,医療の質の向上を掲げる当院において,医療界の様々な背景もあり,臨床工学技士の必要性を病院管理者に理解して頂くことができた.
【結論】
臨床工学技士の業務拡大は医療スタッフのマンパワー不足を背景に,医療機器の進歩や依存度の広がり,専門性の高まりといった面からも必要であり,積極的に取り組んできた結果,医療安全,経営効率という面で一定の効果が想定された.また医師,看護師の負担軽減に努め,医師のタスクシフトの前段階として十分に検討しうると思われた.