第95回日本医療機器学会大会

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一般演題

電波管理

電波管理

[45] 送信機テスタを用いた医用テレメータ送信機の保守管理の取り組み

吉山 潤一1, 元山 明子1, 松尾 安未1, 讃岐 美佳子2 (1.中国電力㈱中電病院 ME管理室, 2.中国電力㈱中電病院 麻酔科)

【はじめに】
医用テレメータは患者に装着された送信機からの無線信号を受信し,心電図や心拍数などの生体情報をモニタリングする装置である.無線機器は便利な反面,適切な管理が実施されない場合予期せぬ事故が生じる可能性がある.当院の医用テレメータ送信機の管理はこれまで外部委託点検で実施してきた.今回,送信機テスタを導入し院内点検を開始したので報告する.
【方法】
院内点検を開始するにあたり,まず買替済みの臨床使用していない送信機(17台)に対して日本光電社製送信機テスタを用い電界強度,中心周波数からのシフト値,FM変調の周波数偏移を測定した.他の点検項目は,メーカ点検記録表を参考に実施した.
【結果】
点検の結果,17台のうち2台でFM変調の周波数偏移がメーカ規定値を逸脱していた.1台は使用年数が12年経過しており,落下によりSpO2のフォトカプラ不良が発生し,プローブ認識ができないものであった.もう1台は使用年数が13年経過し,心電図波形異常と電池部分の錆が認められたものであった.他の送信機は,メーカ規定値内であった.
【考察】
FM変調の周波数偏移がメーカ規定値を逸脱した送信機は,ともに耐用年数を大幅に超過していたことに加え,落下に伴う衝撃などが影響していたと考えられた.送信機テスタは,パソコンに接続しチャネルを入力することで,電界強度,中心周波数からのシフト値,FM変調の周波数偏移の測定が可能であり院内での送信機の保守管理に有用であると考える.今回認めなかったが,電界強度の低下は不安定なモニタリングの指標となり,中心周波数・変調度のズレは近接するチャネルとの相互干渉の可能性もあるため,定期的に点検し規定値を逸脱する場合,早期に対処する必要ある.今後,院内全ての医用テレメータ送信機の点検をおこない安全管理に努めたい.
【結語】
送信機テスタを用い,定期的に医用テレメータ送信機の保守管理を実施することが重要である.