第95回日本医療機器学会大会

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Oral presentation

電波管理

電波管理

[48] 徘徊センサ導入に伴う無線式医用テレメータへの影響を考慮し施行した電磁環境調査報告

元石 徹也1, 島谷 洋志1, 西江 和夫2, 佐々木 恵1,2, 高山 綾1,2,3, 茅野 功3 (1.川崎医科大学総合医療センター MEセンター, 2.川崎医科大学附属病院 MEセンター, 3.川崎医療福祉大学 医療技術学部 臨床工学科)

【はじめに】
医療現場における無線式医用テレメータ(以下送信機)の電波管理はCEにとって重要な役割であり,昨年の本学会にて院内における送信機の電波調査・管理の必要性を報告した.送信機の不具合事例として他の電波利用機器からの電磁干渉が知られており,今回,徘徊センサシステム(以下システム)を導入するにあたり,送信機への影響を予め検討するため電磁環境調査を実施したので報告する.
【方法】
要望のシステムは受信センサと警報器を発信機で繋ぐタイプであった.そのため,送信機と同周波数の製品を除外し,選定したシステムで使用する発信機と同機能のT社製ワイヤレスシステム(発信周波数:426.44MHz)を用いて電磁環境調査を実施した.システムを導入予定である8階スタッフステーション(以下詰所)カウンター上に設置し,8階および9階の詰所を中心に,スペクトラムアナライザにて420~430MHzの電磁界を測定した.
【結果】
ワイヤレスシステムの電源を入れると同時に,8階詰所前通路にて発信周波数域で90dBμV/mを超える電界強度が測定された.同時に発信周波数付近の周波数帯(424~429MHz)にて 40~50 dBμV/m程度のノイズが測定された.また,9階詰所前にて測定された発信周波数の電界強度は9階病棟設置の送信機と同じ強さ(50 dBμV/m程度)であった.
【考察】
ワイヤレスシステムの発信周波数は送信機と異なるため,直接電磁干渉が起こる可能性は低いが,このワイヤレスシステムと既存の送信機による相互変調で発生する発信周波数付近のノイズにより,バンド2と3の周波数帯において受信不良発生の可能性が考えられた.
【結語】
調査から送信機への影響を考慮し,発信機を使用する無線式ではなく有線式を提示し,有線式のシステムの導入となった.送信機に限らず院内全体の電波管理をおこなうことはCEの重要な役割であり,電波管理の必要性を啓発し多職種と連携した体制構築をおこなうよう努めたい.