第95回日本医療機器学会大会

講演情報

一般演題

洗浄評価

洗浄評価1

[51] 温度測定用ロガーを用いた自動洗浄消毒器(WD)の各工程における温度解析

鈴木 昌樹, 伏見 了, 染矢 元記, 廣橋 愛美 (ワタキューセイモア㈱業務本部)

【背景と目的】
各種汚染医材の洗浄に工程の規格化が可能な自動洗浄消毒器(以下WD)が広く利用されている.一般的に洗浄物が多いことからWDを連続運転している病院が多く,さらに積載量が適切だと思われる場合でも工程終了後の乾燥不良をしばしば経験している.そこで,温度測定用ロガーを用いてWDの各工程(冷水濯ぎ,本洗浄,熱水消毒,乾燥)における洗浄槽内温度を測定した.その結果,現場において留意すべきと思われる成績が得られたので報告する.
【材料】
(1)温度測定用ロガー;SD-140(Tecnosoft社製)を用いた.(2)解析ソフト;TecnoSoft-SU(Tecnosoft社製)を用いた.(3)WD;23台(国産;4機種,10台,輸入品;10機種,13台)を使用した.
【方法】
ラック最上段右上手前側に1個のロガーを設置し,実使用工程における温度を測定した.
【結果】
連続運転時の2回目冷水濯ぎ温度(n=23)では温度上昇が見られなかったのが4例,5℃以内の上昇が7例,6から10℃の上昇が8例,10から15.6℃の上昇が4例であった.同様に本洗浄(n=46)では設定温度を100%とした場合,100から90%が32例,90から80%が6例,80から70%が3例,70から54.8%が5例であった.また,熱水消毒工程(n=44)においては100から90%が33例,90から80%が4例,80から70%が2例,70から60.4%が5例であった.乾燥(n=36)では100から90%が3例,90から80%が3例,80から70%が13例,70から29.1%が17例であった.
【結論】
連続運転2回目の冷水濯ぎにおいて11℃以上の上昇が4例に認められたが,最高温度が42.2℃と蛋白質の熱変性を生じるまでは上昇していなかった.しかし,設定温度に対して70%以下が本洗浄と熱水消毒で5例,乾燥では17例も存在した.我々はこれらの事実を踏まえて,適切な再生処理方法の構築のために,WD製造元/代理店の協力を得て,実運転時における適切な温度維持が可能となるよう,見直しを図るべきだと思われる.