第95回日本医療機器学会大会

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Oral presentation

洗浄評価

洗浄評価1

[53] 水量10Lで効果的な洗浄を実現するには(災害時を想定した洗浄方法の実験)第2報

久保木 修1, 清水 応健2, 梶浦 毅司2 (1.京滋滅菌業務研究会, 2.㈱イヌイメデイックス)

【はじめに】
効果的な洗浄を実現するためには十分な水量は欠かせない.しかし,災害などで十分な水量や熱源,物理的作用が確保できない場合,どのようにすれば人の手を介さずに均質に洗浄が可能であるのかを実験したので報告する.第94回本学会の一般演題で,3時間放置したテストデバイスは,「予備洗浄スプレー散布し放置」「本洗浄は洗浄剤を5%に設定し60分浸漬」「すすぎ」の工程で効果が得られることを発表したが,実際にはどの工程が効果を示したかを検証が不十分であった.今回は,どの工程が効果を示したかを実験したので報告する.
【方法】
テストデバイスは止血鉗子のボックスロック部に羊血50μLを塗布し3時間放置したものを10本使用した.1回の洗浄に使用できる水量は10Lとし,予備洗浄工程,浸漬洗浄工程,すすぎ工程に振り分けた.詳細は,テストデバイスに予備スプレー洗浄剤を散布して5分間放置し,6型ジョウロに入れた水を高さ約20cmから1L放水し予備洗浄をおこなった.次に浸漬洗浄は3Lの水(実験時の水温20℃以下)に中性酵素洗浄剤を使用した.すすぎは,ジョウロに水を2L入れ3回放水した.CBB法で残留蛋白質量を計測した.今回もブラッシング工程は個人の能力により結果の再現性が取れないこと,低温での作業は従事者の負担が予測されるため除外した.
【結果および考察】
スプレー散布後の予備洗浄工程のみでは4421μgであった.次に,浸漬洗浄工程とすすぎ工程では172.8μgと大幅に減少していることが確認できた.さらに予備洗浄工程と浸漬洗浄工程とすすぎ工程を組み合わせると,44.3μgまで減少していた.結果はいずれも10本の平均値である.熱源および物理的作用が加えなられない環境での洗浄は,予備洗浄から本洗浄,すすぎ工程と全てを実施しなければならないことが確認できた